パート勤務で「年収120万円」ですが、職場で「10月から社会保険に入ることになる」と言われました。手取りが1万円以上減るのは避けたいのですが、加入する“メリット”はあるのでしょうか…?
扶養に入っている人が社会保険に加入する際の注意点
扶養に入っている人が社会保険に加入する際は、次の点に注意が必要です。 ●保険料の負担が必須になる ●自身や配偶者の税負担が増える可能性がある 扶養に入っている人が社会保険に加入すると、強制的に扶養から外れ、社会保険料を自身で負担しなければなりません。社会保険の保険料は自身と事業主とで折半するため、国民健康保険料よりは負担が少ない可能性がありますが、保険料負担を免れることはできません。 また、社会保険に加入すれば扶養から外れて収入を増やすことができますが、収入が増えれば所得税や住民税の負担が増えます。特に注意したいのが、自分を扶養に入れていた配偶者の税負担も増える可能性がある点です。 生計を共にする配偶者がいる場合、所得税の配偶者特別控除を受けられます。控除を受けられれば、所得が少なくなり所得税額を減らせます。配偶者特別控除は、配偶者の所得が48万円超133万円以下であることが条件です。 もし社会保険に加入して収入の壁がなくなり、収入を大きく増やして所得が133万円を超えた場合、配偶者が配偶者特別控除を全く受けられなくなります。 税負担が増えたり税控除が受けられなくなったりすると、夫婦2人とも給料の手取り額が減ってしまうケースもあります。収入アップで手取り額の減少をカバーできるかどうか、よく確かめる必要があるでしょう。
自分のライフプランに合わせた働き方を
社会保険への加入には、メリット・デメリットがあります。出産や老後の生活など、将来のライフプランが明確であるならば、社会保険に加入するとさまざまな恩恵を受けられるでしょう。 一方、保険料負担などで手取りが減ってしまい、生活が苦しくなる可能性もあります。働く時間を見直す、社会保険が適用されない会社で働く、というような働き方の見直しを迫られる可能性もあるため、配偶者とも職場の担当者ともよく話し合ってみましょう。 出典 厚生労働省 社会保険適用拡大ガイドブック 国税庁 No.1195 配偶者特別控除 厚生労働省 厚生年金保険・国民年金事業統計 厚生年金保険・国民年金事業月報(速報)2024年3月 執筆者:石上ユウキ FP2級、AFP
ファイナンシャルフィールド編集部