地元の専門誌がレコメンド! バンコクを象徴する現代建築7選
キングパワー・マハナコーン 設計:オーレ・シェーレン 竣工:2018年 変貌する街を象徴する、独創的なハイタワー 地上78階、高さ314mの高層タワーは、三次元ピクセルが崩れたような、独自のシルエットを描き出す。まるで立体バズルゲームをも彷彿とさせるビルのデザインは、変化と成長を続けるバンコクの街並みを象徴するようだ。中央部では、DNAの配列を思わせる螺旋状の凹凸がタワーのまわりを巡り、角度を変えるごとにビル自体が動いているようにすら見える。屋上には、360度のシティビューをかなえるオープンデッキのほか、ガラス床から真下をのぞき込めるアトラクションもあり、観光スポットとして行列ができるほどの人気ぶりだ。
地場の伝統素材を、現代風にリデザイン
ジム・トンプソン・アートセンター 設計:デザイン・クア 竣工:2021年 環境に配慮した、モダンな美術施設 高気密な現代建築は空調設備に頼るところが多く、大気汚染や地球温暖化の原因にもなる。高級シルクメーカーを母体とする美術施設は、タイの美しい自然と文化を活かしつつ、いかに過ごしやすく環境負担の少ない空間ができるかを、バンコクの建築事務所、デザイン・クアとともに考えた。結果、コンクリートや鉄骨だけでなく、タイで伝統的に建材として使われてきたレンガや竹を現代的にアレンジして採用。さらに建物中央を中空にして外気を取り入れ、日除けを効果的に配置することで建物全体の7割でエアコンを使わない空間を実現した。 ザ・コモンズ・サラデーン 設計:デパートメント・オブ・アーキテクチャー 竣工:2020年 赤い三角屋根が連なる、コミュニティスペース フードコート形式でカジュアルな食事が楽しめる22店舗が入る複合商業施設。近くにあった鉄道の駅舎が赤い波板の切妻屋根だったことを受け、地域の風景に馴染むようにデザインされた、赤い三角屋根が目を引く。また、地域の人々が気軽に立ち寄ることができる場所を目指し、内と外をつなぐ大きなセミオープンのアトリウムを中央に設け、風通しと採光を確保。ステップフロア式に上下階をつないでいる。赤と透明の波板をボーダー状に配することで、外光を建物内部に適切に取り込みながら、ポップで若々しい印象を全体に与える。