「流行りの人になりたくない」平成フラミンゴが明かす“2024年の裏側”と“一抹の不安”
この1年、単独イベント開催や映画声優、ラジオなど、さまざまな方面で活躍が光った動画クリエイター・平成フラミンゴ。2024年12月11日に開催された『YouTube Fanfest Japan 2024(以降、YTFF)』では、今年リリースした「めきらう☆」を披露し、会場を大いに盛り上げた。 【写真】平成フラミンゴの撮り下ろしカット そんな平成フラミンゴのNICOとRIHOに、YTFF出演にあわせインタビューを敢行。2024年を振り返りながら、活動の裏話や思いを聞いた。 ・「私たちに完璧を求めていない」等身大の姿を受け入れてもらえた初の単独イベント ーー活動4周年を迎えた2024年は、どんな1年でしたか? NICO:一瞬でしたね。初めて単独イベントを開催したり、歌とダンスに挑戦したり、いままでにない1年だったと思います。 RIHO:チャレンジが多かったかなという印象ですね。ダンスが不安すぎて。見れたもんじゃないとなるのが1番怖いじゃないですか。せっかくイベントをやるので、せめて今までみせたことのない平成フラミンゴの姿をみなさんにみてもらいたいなという気持ちがあって。1番身体を動かした年になりました。 NICO:職業がわからなくなりました。ダンス教室に通って、歌詞を書いたりなんだりって。でも嬉しいことですよね。アップデートしていけていることへの感謝というか。2024年は30歳になる年でした。同世代の視聴者の方に「勇気をもらえる」といってもらえるので、それが糧になっていました。 ーー勇気はもちろん、元気をもらっている方も多いと思います。夏に単独イベントを開催されましたが、なにかきっかけはあったのでしょうか。 NICO:不思議ですよね。ずっとやりたかったんですけど、本来であれば5周年とか切りがいいときにするべきだねと、イベントが終わってから話しました(笑)。 RIHO:私たちのYouTubeでの活動はコロナと共に始まったので、視聴者の方と会える機会がなかなか作れない3年間だったんです。今年はみんなが落ち着いてきて、いよいよだと。だから何周年とか気にしないでやっちゃったという。予行練習だったと思えば、だいぶダンスもできるようになったし、初めてイベントをやってみて改善点もみえたので、もし5周年という切りのいい来年にイベントをやることがあれば、もっといいものが作れるのではと思っています。 ーー初めて自分たちでイベントを作ってみてどうでしたか? NICO:すべてにおいて素人なので、何をやるか決めるときが1番大変だったよね。トークも別にできると思っているわけではないし、なにをやるのが正解なんだろうと。いろいろ案を出して、結局全部やりました。 RIHO:歌もダンスもやろう、コントもやっちゃおうと、盛りだくさんなイベントになりました。 NICO:4公演あって、1公演終わるごとに改善点が出て、カットや尺を伸ばしたりしていたら、全部違うことをやっていました。 RIHO:一つとして同じ公演がなかったので、ナマモノというか。リアルイベントはなにが起きるかわからないので、そのよさもわかったし、怖さも知ったというか。いろいろ学びがありましたね。失敗もあったけど、失敗を失敗にしないというか。 NICO:セリフを忘れちゃったとかはありましたが、本当にありがたいことに、平成フラミンゴを好きでいてくださる方は私たちに完璧を求めていないと感じていて。「すみません、セリフ忘れちゃいました」といっても受け入れてくださって、それが本当に助かりましたね。 RIHO:アイドルをみる目だと失敗に厳しくなるところを、それを求められてない。求められていないから助かる部分もありますね。けっこう練習したけど(笑)。 ーー普段の動画のおふたりに近くて、それがいいのかもしれませんね。密着動画をみる限り、相当練習されたのだろうなと感じました。イベントに合わせて、今日も歌唱された「めきらう☆」を制作しましたが、こだわったポイントを教えてください。 NICO:昨年にリリースした「スーパーヒロイン」は私たちをフィーチャーしていて、世の親友とか幼馴染という、私たちと同じような環境の方々に共感してもらえたらいいなという曲だったので、今度は私たちのマインドみたいなものを明るく表現できたらいいね、という思いで作りました。作詞家さんに一度、入れて欲しい言葉を伝えて叩きを作っていただいたんですけど、ちょっと違うかもと、ガラッと変えて。変なこだわりなんですけど、努力は報われるとか、綺麗事をいいたくないというのが2人のなかであって。 RIHO:前を向いてこうとか、別に向かなくてもよくないみたいな。ちょっと強制されている気がするから、言葉を変えようと。 NICO:言葉もプロじゃないので、どういう言葉をつかったらいいのか、リズムにバチッとはまる言葉を探すのが大変だったよね。 ・ディズニー映画出演に『ANN0』パーソナリティ…2024年の“活動の裏側” ーー結果的にすごくいい感じに仕上がっていますよね。8月から9月にかけて単独イベントが開催されていましたが、ちょうど8月はおふたりが揃って声優に挑戦した『インサイド・ヘッド2』の公開時期でしたね。キャスティングが決まったと聞いたときはどう思いましたか? NICO:嘘だと思ったよね。何回か壮大なお仕事であったり、ディズニーの声優が決まりましたみたいなことをいわれて、それがドッキリだったことがあるんですよ。仕掛け人はお前かと、全員を疑っていました(笑)。 RIHO:試写会によんでいただいて、その流れで聞いたので、だからこの試写会に呼んでいただいてるのかな、という。半分信じていませんでした。 ーー確信したのはどのタイミングだったのでしょうか。 NICO:マイクの前に立ったとき。声をあてるときに映像が出るんですけど、さすがにそれは作れないから、そこでこれはガチだと。 RIHO:それぐらい信じられないというか。セリフは一言だったんですけど、一生の思い出になるぐらいの経験になりました。思っている以上にこの映像と声を合わせるのが難しくて。英語で喋っている声に日本語をのせないといけないから、口の動きとか、どこから話しはじめればいいかとか。作品を汚さないように、というのは意識しました。 NICO:滑舌とか息の吸い方とか教えていただいてできましたけど、声を録るときに話の前後がみられないので、この子がどういう子なのかがわからなくて。こんな子だろうと想像しながらやるという。 RIHO:いまだに手応えがない(笑)。 ーー公開されてからだいぶ経っていますよ(笑)。初めての挑戦でいうと、11月に「オールナイトニッポン0(ZERO)」で初めてパーソナリティーを務められましたよね。深夜にもかかわらず、SNSでは日本トレンド1位にランクインするなどすごい反響でしたが、反響の大きさに対してはどう思いますか? RIHO:あの時間でよかったなと。 NICO:ほかの話題が少なくなる時間だったので、いいタイミングだったのかもしれない。3時から4時の放送だったので、誰も聞いていないかもと思っていたんですけど、トレンド1位になっていて。アーカイブが残っていて、それで聞いてるというコメントがあったり、普段平成フラミンゴのことをあまり話さない友達も「聞いたよ」といってくれる子もいました。 RIHO:オールナイトニッポンというものの影響力もあるだろうし、平成フラミンゴを知らない、年齢層が上の方にも聞いてもらえたので、嬉しかったですね。 ーーYouTubeでの経験がラジオに活かされたこととかありますか? NICO:ラジオ番組は自分たちの動画で練習済みだったんです。いろいろやりたいねと話しているなかでも、ラジオは最初から1番やりたかったことで。お玉をペットボトルに貼り付けてマイクにして、布団を挟むでっかい洗濯バサミをイヤホンにして。 RIHO:それをやっておいてよかったのかな。ごっこ遊びを本気でやる日が来た。 NICO:私たちはけっこう表情で会話するので、言葉を使うのが苦手で。語彙力がそんなにないから、そこは難しかったよね。 ・「流行りの人になりたくない」伸びるチャンネルと裏腹に“一抹の不安”も ーーそこがおふたりの特徴でもありますよね。そういった意味で、ラジオは新鮮だったのかもしれません。YouTubeでは幅広い視聴者の方が平成フラミンゴの動画をみていますよね。最近はYouTubeをリビングのテレビで視聴される方が増えてきている傾向がありますが、視聴方法の多様化というところで意識していることはありますか? NICO:テロップは大きく、見やすくというのは初期から意識しています。喋っているテロップだけではなく、大きい声を出したところや感情が出ている反応なんかは顔の周りにテロップを置いて、よりリアルに雰囲気が伝わりやすいように作っていますね。 RIHO:こだわりといえば、画質ですかね。ほかのYouTubeクリエイターが使っていないカメラを使っていて、映像を4Kで作っているんですが、4Kにしているクリエイターはあんまりいないと思うんですよ。映像をキレイにみせるとなると、4Kがいいのかなと。 NICO:画質が悪いとテンション下がるよね。家のなかで撮っているんですけど、座って話すだけではなく動いたりもするので、遠くてもみえるようにバードウォッチングをするのか、くらいの広角カメラを使っています。 ーー平成フラミンゴのチャンネルは、ありのままのふたりをみにきている人も多いと感じています。親近感や距離の近さは、画質からもきているんですね。 NICO:いいものを食べたりキレイな場所で撮影したり、使っているコスメを紹介して憧れの対象になるというよりかは、私たちは親近感だよねという話は2人でもしていて。そこを大事にしているというか、私たちも忘れないように、定期的に話す内容ではあります。 ーー軸がブレないように繰り返し話されているからこそ、面白い動画がたくさん誕生しているんですね。今年もさまざまなことをやってきましたが、5周年を迎える2025年の抱負を教えてください。 NICO:毎年、止まることなく走っているんですよね。30歳の節目は大きいので、どういう風になっていきたいか、女の子としてもいま一度、2人で話したいと思っていて。何をしようかというのは正直、決めていないという。チャンネル登録者数や何をしたいかという目標は持ち続けなきゃいけないものだと思いますが、1番大事にしたいのはRIHOなので。こういう仕事をさせてもらって、忘れちゃう瞬間はどうしてもありますけど、それを1番忘れたくないねと話しています。そこを1番重きに考えて、来年も歩いていけたらいいなと思っています。 RIHO:いま話していることでいうと、ガラッと変わるのかなと、なんとなく漠然と感じています。お楽しみに、と。 NICO:気合いは入ってるよね。すごく幸せな環境に置いてもらえていて、それがいつまでも続いたらいいなと思いますが、平成フラミンゴがいつかみられなくなってくることも分かっているので、そういう時に2人でまた楽しく人生を歩めたらなというところです。 ーーすごく先をみているんですね。 RIHO:数字だけでみると、私たちはすごく華やかな世界にいて、こういうステージに出られていいなと感じることもあると思いますけど、ステージから一歩降りたら、人生どうしようというフェーズに差し掛かっているんですよね。いま思えば、活動を始めた25歳のころは若かったなと思うんですけど、この5年間はすごく人生を左右するときで、いろいろ考える。だから平成フラミンゴはいつかみられなくなるという言葉が出てきちゃうくらい、常にちょっと不安なんですよね。周りは大丈夫といってくれるんですけど。 NICO:そんな無責任なこといわないでって。チャンネル登録者数100万人から300万人までけっこうなスピードできたのですが、もうやめて!と思っていたよね。流行りの人になってしまうとやっぱり飽きられる。もしかしたらペースが早いのかなと私は思っていて、1番の野望は流行りの人になりたくないというか。 RIHO:ゆっくり積み重ねていくと、気持ちもついていくと思うんですよ。だけど、数字とか知名度だけが先に遠くにいっちゃって、心が追いつかないぞと。これって一生自覚持てないと思うんですよね、性格的に。でもYTFFに今年で25回目の登場の平成フラミンゴですとなれるように、頑張りたいなという気持ちもありますね。
せきぐちゆみ