10年勤めた会社の退職金が45万円だった……少なくないですか?【転職のプロが解説】
◆転職活動でも退職金を考慮するべき?
転職活動時に退職金制度が充実している企業や、「退職一時金」の支給金額が多い企業を選ぶべきだと思う方もいるかもしれません。ですが、退職金のことを考慮した企業選びには注意が必要です。 実は、退職金制度のある企業自体が減少傾向にあり、厚生労働省が発表した 令和5年就労条件総合調査 結果の概況 によると、平成30年には全体の約80.5%だったものが令和5年では74.9%に減少しています。 退職金制度は元々、終身雇用を前提に普及した制度でしたが、それが崩れてきていることに加え、団塊世代の大量退職によって、従来のような退職金制度を維持することが難しくなってきているのが現状です。退職金制度が充実している企業を選んだとしても、入社後に退職金制度が変更される可能性もあります。 また、入社時は長年勤めようと思っていても、キャリアの志向やライフスタイルの変化に合わせて、転職をする必要が出てくることもあるでしょう。その場合、退職金を考慮し転職先を選ぶメリットがなくなってしまいます。同じような業務内容、職場環境、条件の企業が仮に2つあり、転職先をどちらにするか悩んだ際に最終的に決める要素の1つとしてであれば、考慮してもいいかもしれませんが、そのような局面になる可能性は多くはないでしょう。
◆条件面を確認するのは、内定後がベター
今後のライフプランのためにも入社前に退職金制度について詳しく知っておきたいという場合もあるでしょう。退職金の制度詳細や支給金額は求人広告や企業の募集要項で記載が義務づけられていないことからも、面接で退職金について確認することはNGではありませんが、聞き方を間違えると、事業内容や業務内容、キャリアステップのことよりも給与や待遇面の条件を優先する人だという印象を与えてしまう可能性もあります。 もし、内定後のオファー面談の場がある企業ならその際に、面談の機会がなければ、内定承諾を検討するにあたり確認したい事項として質問するのがいいかもしれません。 条件面も大切ですが、退職金制度の有無だけで企業の良し悪しや自分に合った職場かどうかは分かりません。長期的に自分のキャリアプランに沿った企業選びをすることを心がけましょう。 この記事の筆者:三ツ橋 りさ 2006年4月、株式会社キャリアデザインセンターに入社。転職情報誌『Womantype』の編集を経て、転職サイト『女の転職@type(現・女の転職type)』のUI/UX改善やサイトリニューアルなどに従事。2013年4月~2015年12月まで『女の転職@type(現・女の転職type)』の編集長に就任。産育休を経て2016年11月より転職サイト『@type(現・type)』の編集長として復職。2019年10月より2度目の産育休を取得し、2021年5月に復職。2021年6月から『type』編集長に就任し現在に至る。
三ツ橋 りさ