封筒に“予備鍵”管理は適切?三菱UFJ元行員 10数億“貸金庫窃盗”頭取が謝罪
◆銀行と顧客の信頼の上で成り立っている契約。その信頼関係の根幹が揺らぐ、異例の事態です。 貸金庫には、“預けてよいもの”が定められていて、例えば、預金通帳などの重要書類や、貴金属・宝石といった貴重品などを預けることができます。 別のメガバンクで支店長を務めていた経験のある菅井敏之さんは「貸金庫の中身を銀行側は見ない。明細もないので、何が預けられているかわからない。現金を預けるのは、“好ましくない”とされているが、中身のチェックをしていないので、顧客を信用している形だ」といいます。 貸金庫を開けるには、顧客が保管する“お客さま鍵”と、銀行保管の“銀行鍵”の、2つの鍵を使ってロックを開ける必要があります。“お客さま鍵”には、紛失などに備えた“予備鍵”があり、銀行が保管しています。“予備鍵”は、契約の際、その場で専用の封筒に入れて、顧客の印鑑と、銀行側の管理者の印鑑の2つの印鑑を使って封をしています。 三菱UFJ銀行によりますと、「第三者目線でチェックするため、半年に一度、予備鍵の個数や保管状態などを、子会社が点検していた。手続き上、“封筒が破れていないかどうか”の確認は定められていたが、“どのように確認するか”が明確でなかった」といいます。 今後は、“予備鍵”の店舗管理をやめ、本部での一括管理にするということです。 菅井さんは「貸金庫事業は、顧客サービスの中では、付随的な業務。封筒での管理方法は、一般的に数十年前から同じシステムで、 長い間、アップデートをしてこなかった」といいます。点検方法に関しても、「本来であれば、1つ1つ“割り印が破られていないか”など、確認をするべきだが、規定や運用ルールもないことが多く、鍵の数を数えているだけではないか」 としています。再発防止策としては「鍵を“本店で一括管理”することは有効」としたうえで、封筒の素材そのものを不正に開封されたときに、チェックしやすいものにするなどの対策も必要」と指摘します。
テレビ朝日