ジェイミー・xxが語る最新作「In Waves」と「サンプリング」、そしてThe xxについて
最新作「In Waves」は、彼の原点となったサンプリングミュージックと、現行のシーンに新風を吹き込む若い世代の音楽の両方に敬意を払った作品であり、そのぶつかり合う波の中で彼自身にとって最適なものを探求している。ただ、個人的でありながらも、オーディエンスへの目線は欠かさず、私たちにデリバーするそのカリスマ性とバランス感覚には敬服するばかりだ。
そんな敬愛するジェイミーに、約9年ぶりとなるフルアルバム「In Waves」についてのインタビューを敢行した。
「人生とは“波”のようなものだと気付くことができた」
――「In Waves」の“Wave”は、さまざまな比喩表現としても使われる言葉だと思いますが、今作にはどういった意図で用いたのでしょうか?
ジェイミー・エックス・エックス(以下、ジェイミー):広い意味では、僕がアルバムにかけた時間や、それまでに自分が体験したアップダウン、そして世界中の人々が体験したアップダウンを表している。僕はここ数年で、初めて物事を俯瞰して見るということができた。そして、人生とは“波”のようなものだと気付くことができたんだ。それができたから、今回のアルバムを完成させることができた。
――今作のアートワークは、強烈な波模様でかなりサイケデリックな印象があります。似たものだと、メルツバウ(Merzbow)の「Pulse Demon」などが思い出されますが、これはどのような意図がありましたか?
ジェイミー:衝撃的なものにしたいと思ったのと、僕の今までの作品のアートワークと似たようなテーマが感じられるものにしたいと思った。一連のコレクションになるようにね。また、今作のアートワークは、目の錯覚を起こすようなトリッピーなイメージにしたかった。アルバムの後半部分は特に顕著で、深いトンネルに落ちていくような不思議な感じがあると思うんだけど、それをアートワークで表現したかった。
――あなたのソロのアートワークには、共通してミニマリズムとマキシマリズムが共存しているように思えます。