レバノンの通信機爆発はどう仕組まれたのか
レバノンのハビブ外相は、今回の連日の通信機器爆発が全国民を恐怖に陥れたとしてイスラエルを非難した。レバノンは物理的な死傷だけでなく心理的な大ダメージを被った。 ■犠牲者は民間人中心だった ただ、AP通信によると、犠牲者にはヒズボラの戦闘員も含まれているが、その多くが戦闘員ではなく、主にレバノンのシーア派コミュニティに奉仕するヒズボラの広範な民間活動のメンバーだった。 このため、今回の攻撃はヒズボラの戦闘員の人員にあまり影響を及ぼさないとみられている。その証拠に通信機器連続爆発直後から、ヒズボラはイスラエルと激しい報復合戦の応酬を繰り広げている。
ヒズボラが使用していた通信機器が爆発する壊滅的な攻撃を受け、シリア、イラク、イエメン、パレスチナなど中東全域のイラン武装グループのネットワークに恐怖の波が広がっているだろう。イスラエルが世界のサプライチェーンに侵入する能力を持っていることが明らかになったからだ。 アメリカのABCテレビは20日、イスラエルがヒズボラを標的に爆発させたポケベル製造に関与しており、この種の「サプライチェーン阻止」作戦を少なくとも15年前から計画していたと報じた。
今日、ヒズボラのみならず、世界のあらゆる戦闘部隊は電子通信手段に依存しており、その結果、有能な敵がつけ込むことができる大きな脆弱性が生まれている。 自衛隊もヒズボラが経験したことから教訓を学ぶのが賢明だろう。なぜなら、将来の紛争で中国やロシア、北朝鮮といった潜在的な敵国が同じような作戦を実施しかねないからだ。 実際、アメリカ上院軍事委員会は2012年、1年間にわたる調査で、空軍のC-130J貨物機や特殊作戦ヘリコプターの組み立て部品、海軍のポセイドン偵察機に中国製の偽造電子部品が使われていることがわかったとする報告書を発表。こうした国家安全保障を脅かす偽造品の主な供給元は中国であると結論付けた。