「定額減税はたいした家計への助けにはならない」の声も。正確に理解している人は約2割…手取りはいくら増えるの?
定額減税で”引ききれない金額”はどうなる?イメージ図で確認
まずは所得税「3万円」の取扱について整理します。 6月の給与で引ききれなかった分は、次のボーナスや7月以降の給与でも減税が続きます。すなわち、「上限の3万円に達するまで」差し引かれることになります。 給与やボーナスが高い方は、もしかすると6月ですべて完結するかもしれませんね。 7月、8月…と減税が続き、最後は「控除前税額と最後の控除しきれなかった額との差額」が源泉徴収される税額となり、3万円の減税が終了します。 もし減税しきれない分が残る場合は、調整給付金の支給が検討されています。こちらは自治体を通して給付されるため、今後の情報に注目しておきましょう。 続いて住民税(1万円)に関してです。 まず、2024年6月の給与からは住民税が天引きされません。住民税は所得税よりも高いことが多いので、実感しやすいかもしれませんね。 定額減税後の年税額が決定されたのち、2024年7月分~2025年5月分の11か月で均した税額が徴収されるのです。 例えば住民税が年間12万円の人の場合、6月の支払い(1万円)は免除され、残りの11万円を毎月1万円ずつ支払うというスケジュールになります。 いかがでしょうか。「定額減税4万円×家族の人数」というイメージが先行していた方は、毎月の手取りへの影響に少し落胆を覚えるかもしれません。 「定額減税4万円」と聞くとちょっとしたボーナスに思えるものですが、実際には毎月の手取りが少しずつ増えるということになるでしょう。 一方、税金を支払っていない世帯については減税の恩恵が受けられないため、給付金が支給されています。 住民税非課税世帯は7万円、均等割のみ課税世帯は10万円です。
定額減税の認知度はまだまだ少ない
4万円を給付するようなシンプルな仕組みではないため、定額減税の認知度は高いとはいえません。 株式会社くふうカンパニーが2024年5月24日に公表した「定額減税」に関する共同アンケート調査によると、定額減税の認知度は6割であり、そのうち正確に減税額を把握している人は約2割だけということがわかりました。 ・正確に減税される金額を把握している:18.8% ・だいたいの減税される金額を把握している:32.9% ・減税される金額までは詳しく知らないので、知りたい:41.9% ・減税される金額までは詳しく知らない、興味がない:4.8% ・その他:1.6% 普段、給与明細で天引きされているお金までしっかり見ている方は少ないでしょう。定額減税の「3万円」「4万円」という数字は見聞きしても、いざ自分の減税額…となるとわかりにくいのもうなずけます。 同調査では、定額減税について思うこともあげられています。 興味深いのは、約半数が「2024年だけの実施では家計への大きな助けにはならない」と回答していること。 ついで「事前申請が不要で嬉しい」36.5%、第3位「手取りが増えて嬉しい」30.3%と続いています。 ポジティブな意見もあるものの、実際には不満を抱える方が多いのかもしれません。 なお、定額減税があっても「支出は変わらないと思う」と回答した人は6割以上にのぼりました。 食料品の値上げが続き、さらに6月からは電気・ガス代の値上げも予定されている中、数千~数万円の減税では消費行動が変えられないとうかがえます。 継続的な支援も望まれています。