骨ホルモン「オステオポンチン」「オステオカルシン」を増やして若返り&免疫力アップ!【40代・50代、知れば知るほどおもしろい!ホルモンの世界⑦】
《オステオポンチンの働き》 ・骨を形成する ・造血細胞の機能を保つ ・免疫に働きかけ、ウイルスや感染症を防ぐ ・傷を治すために免疫を活性化する 《オステオカルシンの働き》 ・骨の強度を増加させる ・認知・記憶機能の改善 ・心臓・血管の健康維持 ・血糖値の上昇を抑える ・肝機能を高める ・筋肉を増やす ・脂肪の蓄積を抑える ・生殖能力を高める ・栄養素の吸収を促進
骨量が減る更年期以降は、オステオポンチンもオステオカルシンも減少しやすい
残念なことに、年齢を重ねるとこのふたつのホルモンは減っていってしまうとか。 「女性ホルモンのエストロゲンには、骨芽細胞の働きを助けて破骨細胞の活動を抑える働きがあります。でも、更年期になるとエストロゲンの分泌量は減少し、閉経後はさらに激減するので、骨芽細胞の骨形成のスピードより破骨細胞による骨吸収のスピードが上回り、骨がもろくなっていきます。閉経後に骨粗しょう症になりやすくなるのはこのためです。骨量が少なくなると骨細胞の働きが停滞し、オステオポンチンやオステオカルシンの量も減ってしまいます。その結果、免疫力が落ちて病気になりやすくなったり、若々しさが保てず老化が進んでしまうのです」
ふたつの骨ホルモンの減少を防ぐためには“骨活”を習慣に
では、このふたつの骨ホルモンを減らさないためにはどうしたらよいのだろうか。 「“骨活”をするのがおすすめです。骨は重力刺激を加えると育つので、“かかと落とし”やジャンプのような運動を習慣にしましょう。かかと落としは、両足のかかとを上げて全身で大きく伸びをしたら、一気にかかとをどすんと落とすだけです。1日30回を目安に毎日行いましょう。膝に痛みなどがある人は、椅子に座って行うのがおすすめです。 また、骨の構成成分であるカルシウムやタンパク質、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、カルシウムの形成を促進するビタミンKなど骨に必要な栄養をとることも欠かせません。カルシウムは乳製品や小魚、ひじき、木綿豆腐、小松菜などに、ビタミンDは干ししいたけ、きくらげ、鮭やサンマなどの魚、ウナギの蒲焼き、しらす干しなどに多く含まれ、ビタミンKは納豆、ほうれん草、小松菜、モロヘイヤなどに豊富です。 ただ、閉経後はエストロゲンの枯渇によって、どうしても骨量が減少してしまうので、これを防ぐため、HRT(ホルモン補充療法)を検討するのもよいと思います」 骨活を習慣にして、ふたつのホルモンの減少を抑え、若々しさの維持と免疫機能の向上を目指そう。
【教えてくれたのは】 工藤孝文さん 内科医・糖尿病内科・統合医療医・漢方医。福岡大学医学部卒業後、アイルランド、オーストラリアへ留学。帰国後は大学病院などを経て、現在は福岡県みやま市にある自身のクリニックにて地域医療に注力。専門は糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病、漢方治療、ダイエット治療など多岐にわたり、テレビ・ラジオなどのメディアで医療の最新情報を発信。著書に『「毎日疲れない」にいいこと 超大全』(宝島社)など多数。 写真・図版/Shutterstock 取材・原文/和田美穂
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