物価高が続いていますが……令和6年度の年金は増えるの? 減るの?
図表1
令和6年度の年金額はどうなった?
それでは、厚生労働省が令和6年1月19日に発表した「令和6年度の年金額改定」について確認していきます(※4)。 令和5年の消費者物価指数(生鮮食品を含む総合指数)の変動率(物価変動率)はプラス3.2%で、名目手取り賃金変動率のプラス3.1%(*1)を上回りました。 そのため、年金額改定では名目手取り賃金変動率を用い、令和6年度のマクロ経済スライドによるスライド調整率のマイナス0.4%(*2)を反映して、前年度から2.7%の引き上げとなっています。 図表2
図表3
(※4)を基に筆者作成 令和6年度の国民年金(老齢基礎年金)の年金額(満額)は、令和5年度の年金額に対して図表4のとおりです。67歳以下の新規裁定者で1750円増の月額6万8000円、68歳以上の既裁定者(昭和31年4月1日生まれ以降の方)は1758円増の月額6万7808円となりました。 図表4
(※4)(※5)を基に筆者作成 また、厚生年金の改定は図表5のとおりとなっています。平均的な収入(賞与を含む月額換算の平均標準報酬43 万9000円)で40 年間就業した会社員の夫と専業主婦の夫婦が受け取る例では、老齢厚生年金と2人分の満額の国民年金(老齢基礎年金)を合計した給付水準は月額23万483円となり、前年度と比べて月額で6001円の増額です。 図表5
(※4)(※5)を基に筆者作成
まとめ
令和6年度の年金額改定では、新規裁定者が受け取る国民年金(老齢基礎年金)の満額は月額で1750円の増加となっています。厚生年金では、平均的な会社員と専業主婦の夫婦2人が受け取る老齢年金の給付水準は月額6001円の増額と、いずれも改定により年金額は増えましたが、物価の上昇率から考えると実質的には減額ともいえます。 出典 (※1)日本年金機構 物価スライド (※2)厚生労働省 平成16年 年金制度改正のポイント (※3)日本年金機構 マクロ経済スライド (※4)厚生労働省 令和6年度の年金額改定についてお知らせします (※5)厚生労働省 令和5年度の年金額改定についてお知らせします 執筆者:辻章嗣 ウィングFP相談室 代表 CFP(R)認定者、社会保険労務士
ファイナンシャルフィールド編集部