菊地凛子と磯村勇斗、ネットフリックスプロデューサーが登壇 ケリングと考える映画業界の女性の働きやすさ
スタッフや演者など立場の異なる人同士が円滑なコミュニケーションが取れるように指導する「リスペクト・トレーニング」も普及している。このトレーニングは、演者やスタッフら制作に関わる全ての人が参加し、ハラスメントについて学びを深めるというもの。
過去に「リスペクト・トレーニング」を受けた菊地は、「自分の目線だけでは気付かないようなハラスメントのリスクについて知り、それまで気付いていなかった自分にショックを受けると同時に大事な学びになった。こうした互いを尊重するための環境づくりに意義を感じる」とコメントした。
世代間のコミュニケーションの取りづらさに話題が及ぶと、岡野プロデューサーは「撮影現場の一角に、温かい飲み物や美味しいお菓子やコーヒーを用意すれば、みんなが自然に集まって会話が始まる。制作費を握っている立場として、それもある意味クリエイティブな場の一つと捉えて投資している。飲み会などあらたまった場所を設定しなくても、日常的にコミュニケーションがとりやすい環境が大事なのでは」と意見した。
最後に今後さらに女性が働きやすい業界を目指していくために必要なことを聞かれると、磯村は当事者以外のアライシップの重要性を踏まえ、「男性もしっかりと理解を深め、自分が発信できることがあれば声をあげていきたい。僕の周りには同じ問題意識を持った俳優仲間がたくさんいて心強い。先輩と若い世代をつなげて、ムーブメントを広げていきたい」とコメント。菊地は、「こうしたイベントが現状を知るきっかけになる。(違和感や不平等を)言葉にしていくには、時間も勇気も必要だが、一人一人が意識改革できたら」と締め括った。
ケリングは2015年のカンヌ国際映画祭をきっかけに、映画業界で働く女性たちに光を当てる「ウーマン・イン・モーション」プロジェクトを発足。アート、デザイン、音楽、ダンスなど、さまざまな分野で才能を発揮する女性を表彰するアワードやトークイベントなどを継続的に実施する。東京国際映画祭での同トークイベントの開催は、19年を皮切りに今年で4回目を迎えた。
オープニング・スピーチを行った映画監督の是枝裕和は、「数年前にカンヌ国際映画祭で『「ウーマン・イン・モーション』のイベントに参加し、プロジェクトの本気度を感じた。今は日本に限らず、映画の文化を豊かに発展させていくためのかけがえのないパートナーだ」と語った。