性教育啓発で法人立ち上げも 元AV女優紅音ほたるさんが伝えたかったこと
●リスクを知らない
赤枝氏や紅音さんは、なぜここまでコンドームをつけることを強く訴えるのだろうか。 「若者たちはセックスのリスクを知らない」。赤枝氏はこう警告する。 ガールズガードの活動を続ける中で、赤枝氏はたくさんの10代女性の性をめぐる現状を見てきた。相談室には、妊娠が進行して中絶もできないような「手遅れ状態」で来る10代が多くいたという。話を聞いていく中で、若者たちがコンドームをつけずに、肛門性交や3人以上での性交など無謀で危険なセックスをしている実態も分かった。 性感染症に苦しむ女の子たちも多かった。2000年当時に赤枝氏らが六本木交差点周辺で行った調査では、受診した125人(平均年齢18.7歳)のうち、28.8%が「性器クラミジア」、9.6%が「淋菌」、3.2%が「性器へルペス」に感染。性感染症の一種である「膣カンジダ」(49.6%)まで含めると、8割超が何らかの性病や疾患を抱えていた。 エイズの危険性もある。赤枝氏のもとに駆け込んだ中には、中2でエイズになり、20代で亡くなった女の子もいた。彼女は毎週末の金土日にクラブで徹夜で踊りにあけくれる生活を送っていたという。
それでも、10代の性感染症は減少傾向にある。厚生労働省の資料によると、15~19歳の男女の感染状況は、淋菌が2002年の2325人をピークに2015年には640人まで減少。性器クラミジアは6801人(2002年)から2438人(2015年)、性器ヘルペスが550人(2003年)から277人(2015年)となった。 一方、HIV感染者は、総数こそ2009年に初の減少となったが、依然1000人超で推移。29歳以下に限れば、2009年以降も再び増加し、2014年には365人と過去最多を記録している。日本学校保健会のレポートでは「10代の女性と45歳以上の女性は、いずれも他の年齢層の女性に比べてHIVに感染しやすい」と注意を促す。 10代の人工妊娠中絶も、2000年初頭の13%を最後に2014年には6.1%まで減った。ただ、日本性教育協会のレポートは、「中学・高校生の性交経験率やローティーンでの出産数は、絶対数は少ないものの横ばい以上」と指摘するなど、セックスの低年齢化が問題となっている。