NHK『あさイチ』『光る君へ』の美術チームがすごい!セットからエコへの挑戦を知り、番組の見方が変わった!
◆「美術リサイクルコーナー」 エコな清涼殿セットを堪能した後は、使い終わったセットの置き場へ移動。以前は「廃棄場」とされていたが、今では「美術リサイクルコーナー」に変身。携わる現場の人たちの意識もリユース・リサイクルを第一にする姿勢に変わったそうだ。廃棄するセットは分別を徹底している。 現場を巡った後は記者会見だ。会場には、岩、パネル、襖、ファンデーションなどが置かれ、それぞれの説明がなされた。 ドラマに登場するダイナミックな岩は、実はゴム素材で作られたラバーシート。記者会見の後に、私は恐る恐るシートの端をつまんで持ち上げてみたら、軽くて、ごわごわした質感が面白く、何回も持ち上げてしまった。それまで、岩や土塀は、ブリキ、発泡スチロール、FRP(硬質樹脂)などで作ってきた。 ラバーシートの岩の横には、『武蔵 MUSASHI』(2003年)に使われたFRPの岩がドンと置いてあった。これを見ると、ラバーシートにより、保管面積を縮小でき、運搬車両の削減を大幅に実現できるのが理解できた。 カラフルな色のパネルが置いてあったが、来月に開催が迫ったパリオリンピックの現地セットのサンプルである。これまでこういったパネルにはベニヤ板を使ってきたが、段ボールボードにすることで軽量化を実現。リサイクルも目指している。
◆襖の進化 時代劇に登場する花柄や金を施した襖も進化している。 大河ドラマ『元禄繚乱』(1999年)の頃の襖絵は、手書きで、金箔部分は吹付け。それがスキャンしたデータを自在にレイアウトした図柄の襖絵を制作できるようになった。 大河ドラマ『西郷どん』(2018年)では金箔部分だけ吹き付け、ドラマ10『大奥』(2023年)の御鈴廊下の襖は金色紙に花柄をデジタル出力。まさに「デジタル障壁画」だ。襖は絵柄を変えて使いまわしをしている。 エコは撮影用の化粧品にもおよぶ。俳優さんたちは、マイクロプラスチックを排除したオリジナルのPF(プラスチックフリー)ファンデーションを今後使用していくそうだ。化粧品くらい、と思うが、何百人が毎日顔を洗うことを思うと、塵も積もれば…なのだろう。
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