NHK『あさイチ』『光る君へ』の美術チームがすごい!セットからエコへの挑戦を知り、番組の見方が変わった!
現在放送中の大河ドラマ『光る君へ』。屋外ロケで武士たちが戦うような戦国ものとは違って、屋内でのドラマ展開が多い今作。貴族たちの美しい着物や建物など、平安時代の雅も見どころの一つだ。画面を通して四季の風情を感じさせる壮大なセットなどにも、エコへの取り組みがなされているという。『あさイチ』も合わせ、舞台裏を見せてもらった (取材・文◎しろぼしマーサ 写真提供◎NHK) 【写真】『あさイチ』のセットの説明をする鈴木奈穂子アナウンサー * * * * * * * ◆夢のようなひと時 NHKの大河ドラマは『赤穂浪士』(1964年)から見続けているが、平安時代に興味がある私にとって、夢のようなひと時を体験した。現在放送中の大河ドラマ『光る君へ』に登場する、平安時代の建築様式を再現した「清涼殿」に立つことができたのだ。 柄本佑さんが演じる藤原道長が天皇に拝謁するシーンなどに使われているので、印象に残っている視聴者は大勢いるはず。 白木の木目が美しい丸柱、鮮やかな緑色の青竹の御簾、格調高い天皇の御在所である。NHKの美術チームは、国宝「源氏物語絵巻」などを参考にして研究を重ね、スタジオ内に雅の世界を再現している。 清涼殿の白木の階段の上から、息をひそめてリハーサルを見ていた。リハーサルが終わったとたんに、NHKの担当者が、「丸柱は軽量で使いまわしができます。屋根も同じ軽量素材です」と説明を始めた。
◆“エコ”な番組作りの裏側 私はドラマの見学に来たわけではない。「“エコ”な番組作りの裏側 お見せします!」ということで行われた、メディア向けのバックヤードツアーに参加したのだ。 白木の丸柱は、宮大工が槍鉋(やりかんな)で木を削った柱を原型にし、それを型取りしたゴムで作ったシートを貼っている。ゴムのシートは木材を削った跡や木目の表情を細かく再現。檜皮葺の屋根も同じゴム素材だ。 セットを軽量化すれば、運搬時のCO2を削減でき、建て込みの時間を短縮、保管面積も縮小できる。丸柱も屋根も使用後は砕いて、様々なものに再利用が可能だという。 NHKはSDGsに取り組み、東京・渋谷放送センターのスタジオでの番組作りにも、デザインや美術を担当するチームが一丸となり、『プロジェクトX』に登場するような挑戦を続けているのである。
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