のん 全力挑戦のコメディー「突き抜けた芝居、見て」 主演作「私にふさわしいホテル」
「私にふさわしいホテル」は、ユニークな文壇コメディーだ。奇才、堤幸彦監督が柚木麻子の小説を映画化した。華やかなデビューを台無しにされた新人作家が、あの手この手で憎き大御所への報復を企てる。主演は、のん(31)。全力でコメディエンヌぶりを発揮する。 【場面カット】映画「私にふさわしいホテル」 のんが演じる新人作家の中島加代子は、大作家、東十条宗典(滝藤賢一)からコラムで作品を酷評され、鳴かず飛ばずの日々が続いている。「山の上ホテル」に自腹で宿泊し、いつかこのホテルにふさわしい作家になりたいと夢見ている。 川端康成や三島由紀夫ら文豪が愛した東京都千代田区の山の上ホテルが撮影に協力した。老朽化に伴い今年2月に休館したが、明治大が土地建物を取得し再開を目指すことになった。 加代子は、このホテルで東十条と偶然出会ってしまう。 「自分がいただいてきた役の中で一番悪いやつ。でも、小説に対する情熱だけは真っすぐで純粋な人。突き抜けた芝居で、気持ちよく見てもらえたら」 堤監督の要求に応じ、体を張ったコミカルな動きに多数挑戦した。 「主人公は見る人を最後まで引き連れていかなくてはならない。そのためには、その作品の世界観を成立させるだけのリアリティーが必要。その点で、コメディーって難しいなと思いました」 滝藤とは、のんが主演したNHK連続テレビ小説「あまちゃん」(平成25年)を皮切りに、これが3度目の共演だ。 「滝藤さんは、こういう男尊女卑の役でも、どこかにおしゃれなたたずまいが残る。そこがすてきですよね」 田中圭とは初顔合わせ。編集者で大学の先輩でもある遠藤道雄を演じる。 「誰の味方か分からない。複雑に演じられた。すごく楽しかった」 「あまちゃん」の盟友、橋本愛とも3度目の共演を果たした。 「愛ちゃんは今回、個性的なカリスマ書店員さんの役。親友役以外で向かい合ったのは初めて。こんな感じでも愛ちゃんとは楽しく演技できた。一緒にまだ、いろいろなことができそう」 来年秋の朝ドラ「ばけばけ」のヒロインに起用された高石あかり、ベテランの若村麻由美、光石研らも出演している。