愛知「博物館明治村」が18日で50周年 ── 阿川佐和子さん・女性初4代目村長に
明治建築を保存、展示する野外博物館愛知県犬山市の「博物館明治村」の開村50周年記念式典が行われ、新村長に就任したエッセイストの阿川佐和子さん(61)が登場。阿川さんに明治村を運営する財団理事長の木村操氏から委嘱状が渡された。かつての村長には森繁久弥さんらが名を連ねているが、女性の村長は初めてだという。18日には開村50周年を迎える。
1965年に「開村」の野外博物館
博物館明治村は日本各地また、アメリカやブラジルなどの歴史ある建造物60棟以上を移築・復原した野外博物館。また動態展示として蒸気機関車や市電を村内に走らせることでも知られる。国の重要文化財10件と愛知県の有形文化財指定の建造物1件も含まれる。 その明治村が18日に開村50周年を迎えるにあたり、4代目村長に就任したエッセイストの阿川佐和子さんが紹介された。女性の同村村長は初という。 マーチングバンドと花吹雪、マイン(音花火)の演出の中、トヨタ博物館(同県長久手市)からこの日のために借り受けたというT型フォードに明治時代の貴婦人をイメージした華やかな衣装に身を包んだ阿川さんが乗り込み村内をゆっくりと進むと、阿川さんを一目見ようと沿道を埋め尽くした多くの来場者に拍手喝采が起こった。この日の来場者数は約6000人で、普段の約2倍の人が訪れたという。
歴代村長は森繁久弥さん・小沢昭一さん
明治村の村長はかつて俳優の森繁久弥さんや小沢昭一さんが務めてきた。そんな名だたる先代たちを引き合いに出し、務まるのかと緊張していると語ったが、就任の最大の決め手を問われると、「明治村を日本のためにきちんと維持しなければいけないという気概を感じ、イエスと言ってしまった」と答えた。 就任あいさつの抱負として、「いま、愛知県以外の人たちの中には、明治村が何県にあるのか知らない人も多くいます。いずれは全国の子どもたちに「明治村、まだ行ってないの?ダサいね」といわせるくらい面白い村にしていきたいと思います」と言い、会場内を沸かせた。 また、「明治以来、ある意味江戸時代以来の素晴らしい日本人の知恵と外国から影響を受けた技術を融合したものをここで昇華して残している、その裏にどれほどのたくさんの方々の力や技や知恵があるかということを私はできる限り多くの人に伝えていかなければいけない」と熱く語り、「高度成長期の50年前にこの明治村を建てようと思った方々の先見の明は素晴らしいものがあると思います。本物を移築するということはどれほど大変なことか、想像を絶するものがあると思います。明治の人の気持ちになってここに住んでみたらどんな感じかな、という気分になったら色々なヒントが浮かぶかと思います。「来たら面白いわ、ここ」と思ってまた来てもらえるような魅力あふれる村にしたい」とも話す。
蒸気機関車9号再開・公募決定の愛称は「ジョージ9」
1912年にアメリカで製造された蒸気機関車9号を1974年から動態展示してきた明治村。2010年から駆動部の不具合のため長らく運休していたが、この日運行を再開するため行われた出発式では阿川さんにより愛称が発表された。 一般公募で決定した「ジョージ9(ジョージナイン)」は三重県の山田貴子さんがネーミング。蒸気機関車のジョウと、9号のナインを合せたといい、阿川さんも「建物など漢字の名前が多い明治村の中で、この名前は新しい時代の訪れを感じる名前だと思います」と話した。