学生時代“ぼっち”だった「春とヒコーキ」土岡が推薦! 陰キャ史を振り返る『こち亀』みたいなギャグマンガ
女子高生の本気の土下座
――印象に残っているエピソードはありますか? 土岡 最初の頃なんですけど、年下のいとこが家に遊びに来た時に、「お姉ちゃん、彼氏いるんだ」って思われようとして自分でキスマークをつけるエピソードがあって。掃除機で体を吸って、 謎の丸い跡を体にいっぱいつけて、お母さんにすごく怒られる(笑)。 その後二人で出かけたら、前に傘を貸してくれた男の子とばったり会うんだけど、そのいとこが「あの人が、彼氏 ?」って言ってきて、「うん、彼氏だよ」って嘘ついちゃうんですね。そしたらその次の日に、その男の子が図書館で別の女の子と一緒に歩いてるところに出くわしちゃって。 ぐんぴぃ 辛いねぇ~。 土岡 いとこが「え、お姉ちゃんの彼氏、女の人といるよ」って言って、主人公がトイレに行っている間に、男の子に「私のお姉ちゃんと付き合ってるのに、なんで他の女の子と仲良くするんですか?」って聞いちゃって。 ぐんぴぃ 考えられない。もう読み進められない、そんな辛いの! 土岡 それを見た主人公は、「やべえ」ってとりあえずいとこを先に行かせておいて、自分はさっきの男の子の前でめちゃめちゃ土下座するっていう(笑)。 ぐんぴぃ 最高だよ! ――めちゃくちゃ笑いました。女の子の本気の土下座って今まであまり見たことがなかったです。 土岡 「こいつは自分だ」って思うのに、全く擁護する気にならない。見てて気持ちいいですよね(笑)。 ぐんぴぃ 確かに。なんなんだろうね。
それは同人誌でボコボコにされるやつ
土岡 最近は人と接することが増えていって、暗い子や、ヤンキーな子や、あと世話焼きな子たちと接していくんですけど、途中で明らかに1人、ちょっと性格の悪い子が出てきたんです。しかも陽キャで性格が悪い子。なんか嫌な子急に出てきちゃった、ってマンガ読んでてびっくりした。 ぐんぴぃ 同人誌でボコボコにされるやつね。 土岡 そうそう。でもその子がもともといた陽キャ側のコミュニティのこともちょっと描かれていて。そのイケてるグループでは、その場にいない子の悪口を全員で言ったりしていて、人間関係が結構こじれてぐちゃぐちゃになってる。それで、その性格悪い子が今度はぼっちになるんですよ。このマンガでは最初から、イケてない側のぼっちを描いてきてたけど、今度はイケイケな側のぼっちが描かれはじめた。 ぐんぴぃ 都落ちぼっちね。 土岡 鏡写しの関係みたいな感じになって。 ぐんぴぃ ワルイージみたいな感じ? 土岡 なんでワルイージなんだよ(笑)。マリオとワリオでいいじゃん。でも、確かに主人公も決してマリオではないからね。 ぐんぴぃ それ、仲良くなったりするんじゃない? 土岡 まだ直接の会話は1回もしてないんだけどね。 見ていて面白いのが、キャラクター同士が「この子はこの子をこんなふうに思ってる」っていうのを、セリフなしの顔だけで表現するページが結構多くて。8人ぐらいのキャラクターが座って文化祭のステージを見ているシーンだと、「この子は今ステージに立ってるこの子にこういう思いがあるからニコニコして見てるよね」とか、「でもこの子は今こういう思いがあるからちょっとつまんなそうな顔してるよね」とか、言葉では一切説明せずに顔だけで表現していたりとか。 あとは、いつの間にかヤンキーと優等生が仲良くなっていたり。これも、仲良くなる過程が全く描かれないんですけど。 ぐんぴぃ リアルだな~。いつの間にか仲いいんだよな、ヤンキーと優等生の女の子って。 土岡 人間関係とかキャラクターの描き方がめちゃめちゃ上手いから、「じゃあこの時にはこう思ってたのかな?」って何気ない会話を読み返したくなるんです。