学生時代“ぼっち”だった「春とヒコーキ」土岡が推薦! 陰キャ史を振り返る『こち亀』みたいなギャグマンガ
自己分析が何にも生きないのが自分と一緒
――このマンガに土岡さんがハマったのは、ちょうど就活のタイミングだったことも関係があったりしますか? 土岡 智子ちゃんは人としゃべらないから、いくらでも時間があって、自己分析しすぎなところがある。その自己分析が別に何にも生きないのも自分と一緒。僕は就活もしたけど1社も受からなかった。「結局ノリ良くできちゃう奴が、まあまあいい企業に行けちゃうんじゃん」っていう部分が覆らない感じも、変に希望を与えなくていいなと思いました。 でも、実はマンガの方はだんだん変わってきたんです。 ぐんぴぃ な、なにっ? ? 動き始めてるのか? 土岡 男にモテはしないんだけど、友達ができてきた。ぼっちマンガで始まったのが、今はすごい群像劇の人間関係マンガになっていて、正直最初の頃とは変わっています。 ――そうなんですね。途中まで読んだ限りでは、ほぼ弟としかしゃべっていなくて、あとは全ての人間関係に失敗していましたが……。 土岡 それが変わっていったんです。例えば、修学旅行でたまたま同じ部屋になった人と絡んだり、2年生、3年生になるにつれて友達ができたり。最初の頃は本当に友達がいなくて、1年生編があっという間で終わっちゃってたけど、人と関わり始めたら、時間が倍ぐらい伸びて、どんどん時間のスピードがゆっくりになってる感じがして。たまたまそうなっただけかもしれないですけど、そこが巻数に表れているのがなんかいいなぁと。 ぐんぴぃ この後、大学生になってさ、すっごい楽しくなったりしてね。サザエさんくらい無限に大学生編が続いたりしてね。 土岡 確かにそう。どっちになるのか、ちょっと掴めないところがある。
“女版ウエストランド井口”な主人公
――あと、主人公が“喪女”っていう設定が独特ですよね。読んでいるうちに可愛げが出てくる部分もあるんですけど、とんでもない下ネタが冒頭から出てきたりして、正直「これは……」と思う瞬間も多かったです(笑)。 土岡 アニメを観た時も「声優さんにこんなこと言わすんだ」ってめっちゃびっくりしました(笑)。 最近もちょろっと見返してみたら、「すごいこと言ってるな、今じゃダメだよな」っていう表現もありましたね。10年前だからピーも入ってないけど。 ぐんぴぃ 2人ともCREAらしくない作品を持ってきてしまいましたね。陰キャのひとりでいる奴の話を……(笑)。 ――その点もさっきの「フジイ」と同じで、独自性のあるキャラクターというか、個性的な主人公像だなと思いました。 ぐんぴぃ でも本当に俺らの気持ちをわかってくれるキャラクターの走りだったよね。いろんなものに楯突いていて、僕は“女版ウエストランド井口”だと思って読んでいたんですけど。面白いもんね。