第95回選抜高校野球 報徳、社に春便り 仲間信じ、勝利へ向かう(その1) /兵庫
<センバツ2023> 第95回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)の選考委員会が27日、大阪市の毎日新聞大阪本社で開かれ、県内から報徳学園(西宮市)と社(加東市)の出場が決まった。報徳学園は6年ぶり22回目、社は19年ぶり2回目の出場。県勢の2校出場は2年ぶりで、秋の近畿大会に出場した両校が晴れ舞台への切符を手にした。大会は3月10日に組み合わせ抽選会があり、18日に西宮市の阪神甲子園球場で開幕する。【大野航太郎、喜田奈那】 ◆報徳 ◇優勝目指し闘志 報徳学園の選手らは校内にある講堂で大スクリーンの中継画面を見守った。校名が読み上げられると、選手たちは静かに表情を引き締めた。 発表後、元田利幸校長が「おめでとう。野球部の伝統を胸に、君たちにしかできない野球をしてください」と激励。同校のOBでもある大角健二監督は「勝てるチームになるため、しっかり準備しよう」と呼びかけた。選手たちは校門前に集まり、帽子を投げて喜びを分かち合った。 主将の堀柊那選手(2年)は「近畿大会の決勝で大阪桐蔭に負けた悔しさを糧に練習してきた。優勝を目指す」と誓った。エースの盛田智矢投手(同)は「強豪校が相手でも0点に抑えたい」と意気込んだ。 駆けつけた選手の家族らは「甲子園でも報徳らしく、泥臭く勝ちにいく野球をしてほしい」と期待を込めていた。 ◆社 ◇19年ぶり歓喜の輪 社は、会議室で監督や選手らがオンラインで発表を見守った。緊張した表情の選手たちは、「社」の校名が発表されると、驚いた様子でモニターを見つめながら、選考された理由を静かに聴き入った。 出場決定の発表をともに見守った若浦直樹校長は「おめでとう。皆さんの頑張りに感謝したい。チーム力に磨きをかけ、元気と勇気を与える試合を期待している」と激励し、主将の隈翼選手(2年)と握手を交わした。隈選手は「秋の大会を終えて課題が残った。甲子園に向けて一つ一つ課題をつぶし、出場するからには勝てるチームを作りたい」と気を引き締めていた。 学校には保護者らも駆けつけた。笑顔で喜ぶ選手らをスマートフォンで撮影し、「まだ信じられない」と涙をにじませながら喜んでいた。保護者会会長で野球部OBの斉藤幹雄さん(49)は「甲子園への出場が決まりうれしい。今までやってきた練習の成果を発揮し、社の野球を思う存分見せてほしい」と大舞台での活躍を期待していた。 ◇「記念」号外配布に歓声 報徳・社 報徳学園のセンバツ出場を受け、毎日新聞は27日、号外を校内で配布した。選手たちは「おー」と歓声を上げながら受け取った。 スタンドで部員の応援を指揮する2年の大崎元輝選手(17)は「全員で喜んでいる感じがいい。自分の部屋の机に飾っておく」とうれしそう。父母会長の宮本浩充さん(48)は「風物詩の号外を経験できるなんて、非常に恵まれている。センバツでは、皆で楽しくやれたら、それ以上のことはない」と目を細めた。【稲田佳代】 社に吉報がもたらされた後、校内では出場決定を報じる毎日新聞の号外が配られた。「社 2度目の春」の見出しが躍り、選手や保護者らは号外を手に記念撮影するなど喜びをかみしめた。 野球部マネジャーで2年の辻望衣(もえ)さん(17)は「選ばれるか不安だった。想像以上にうれしくて涙が出た」とほほ笑んだ。広田芽衣(めい)さん(17)は「昨秋の近畿大会は悔しい思いをした。センバツでは笑顔で終わりたい」と話した。【巽賢司】 ◇原点に返り練習 小野、出場ならず 21世紀枠近畿地区候補校の県立小野高校では、ホールに野球部員や保護者、学校関係者らが集まり、インターネット中継を見守ったが、惜しくも出場を逃した。 北垣賢高監督は「力があるチームなので、もう一度原点に返って全力疾走などできることをしっかりやっていく」と夏に向けて意欲を語った。加嶋幸彦校長は「近畿地区候補に残ったことは、過去になかった快挙。結果を真摯(しんし)に受け止め、大きなステップにしたい」と話した。【中田敦子、幸長由子】 〔神戸版〕