<元日本代表 水沼貴史が解説>2014年W杯 グループCの楽しみ方
すでに9年前の栄光になるが、いまも伝統は色褪せていない。ヨーロッパ予選の10試合でわずか4失点、相手を零封した試合が8を数えた数字も堅守を証明している。加えて、経済危機に直面している国内事情も見逃せない。国全体として浮上するための「きっかけ」をつかみたいと願っていて、それが代表チームにも伝わっている。 モチベーションは非常に高いはずで、そうした背景を加えれば決して侮れない存在となる。日本としては、11月のベルギー遠征で見せた「らしさ」で強固な守備網に風穴を開けたいところだ。 ギリシャの「しつこさ」の前に、とにかく焦らないことが求められる。引いて守られる相手に焦れて、ボールを奪われて、カウンターを仕掛けられて失点したこれまでの失敗を糧にできるかどうか。守りを厚くする相手を、パスを速く回してワンタッチで崩す。いま選手たちが取り組んでいて、ベルギー遠征で結果を出したサッカーができれば、必ず勝機を見いだせるはずだ。 また、初戦のキックオフ時間が日本対コートジボワールの現地時間22時に対し、コロンビア対ギリシャは酷暑の13時。レシフェからギリシャ戦が行われるナタルへの移動距離も約250kmと比較的近い。こうした条件も、日本にとっては追い風となるかもしれない。 ■コロンビアに脈々と受け継がれるしたたかさに警戒せよ グループCで最も強いとされるポッド1のコロンビアと、最終戦で対戦できることは、それまでの2試合を通じてしっかりと相手を分析し、準備を整えられる意味でも恵まれたと言える。もっとも、日本としても最低でも1勝1分けでコロンビア戦を迎えたい。コートジボワールかギリシャに1敗でも喫していたら、おそらくは苦しい展開になるのではないか。 アルベルト・ザッケローニ監督は、コロンビアがベルギーを2対0で一蹴した11月の親善試合をスタジアムで直接視察している。その眼前で証明されたのは、圧倒的に攻められ、自分たちが試合を支配できなくても、勝利を手繰り寄せる力を持っていることだ。