まさか友達が…大学進学を断念する 受験料を盗まれるも「仕方ねえな」と 話の肖像画 夢グループ創業者・石田重廣<10>
予備校の授業はつまらなくはなかったですね。僕の記憶では学校の先生は面白い授業はしていませんでした。でも、予備校には有名な先生がいるわけで、タレントと同じように独特な話し方をしたりして、退屈しないんですよ。予備校の先生はプロという厳しい社会の中で生きているんだな、と思いました。なぜかというと、人気がなくなって生徒が集まってこなければ、クビですからね。
《捲土(けんど)重来、いよいよ2度目の受験となった》
12月ぐらいに実家から、受験料20万円が現金書留で送られてきました。それをそのまま、4畳半のアパートの机に置いておいたんです。その当時、僕は部屋に鍵はかけていませんでした。誰でも出入りは自由なんです。僕は予備校に通ったり、お風呂に行ったり、遊びに行ったりしますからね。で、帰ってきたら、いつの間にか書留がなくなっていた。
友達と一緒に必死に探したところ、別の友達が持っていったことが分かったんです。で、僕はどうしたか。仕方ねえな、と思ったんです。友達やみんなが彼を捕まえると言ってくれたんですが、「彼にも事情があったんだろ。別に大学に行きたくはないからいいよ」と。(聞き手 大野正利)
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