VW、中国専用「E/Eアーキテクチャー」開発の思惑 小鵬汽車との協業深め、開発スピード向上図る
ドイツ自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)グループは4月17日、中国の新興EV(電気自動車)メーカーの小鵬汽車(シャオペン)と共同で自動車用の「電気/電子(E/E)アーキテクチャー」を開発すると発表した。2026年以降、VWが中国の工場で生産するすべてのEVに搭載していく。 【写真】VWの中国事業を率いるラルフ・ブランドシュテッター氏(同社中国法人のウェブサイトより) 「VWグループの製品開発は、中国においては特別なスピードアップが必要だ。そうしなければ熾烈な競争に対応できない。中国市場専用の(車台やE/Eアーキテクチャーなどの)プラットフォームを作ることが、われわれの解決策の1つだ」
VW本社の取締役で中国事業の総責任者を務めるラルフ・ブランドシュテッター氏は、財新を含むメディアの取材に応じてそう述べた。 ■小鵬汽車との協業を拡大 中国の自動車市場では、急速なEVシフトとクルマのスマート化が同時進行しており、アメリカやヨーロッパなど中国以外の主要市場との違いが鮮明になっている。中国メーカーがEVやPHV(プラグインハイブリッド車)を短いサイクルで次々に開発・投入し、販売を競っていることが背景だ。
そんな中、VWは中国市場向けのEV開発を加速するため、2023年7月に小鵬汽車に出資(訳注:出資比率は約5%)。小鵬汽車の車台をベースにした2車種のEVを共同開発し、VWブランドで発売することに合意した。 さらに、2024年2月には車台やソフトウェアの共同開発、部材の共同購買などにも協業関係を広げた。その狙いは、新型車の開発期間を30%以上短縮するとともに、大幅なコストダウンを実現することにある。
VWと小鵬汽車が共同開発するE/Eアーキテクチャーは、自動車の機能を電気的・電子的に制御するシステムの全体構造のことだ。エンジン車時代のE/Eアーキテクチャーは、エンジン制御やブレーキ制御など機能別のECU(電子制御ユニット)が1台のクルマに50~100個も搭載された分散型のシステムだった。 それを大きく変えたのが、アメリカのEV大手のテスラだ。同社は自動車のあらゆる機能をわずか数個の統合ECUで制御する中央集中型のシステムを開発。ECUの数を大幅に減らすことで、無線通信を介した制御用ソフトウェアのアップデートも容易にした。