時給243円「あまりにも低すぎる」 障害者への工賃“倍増”を実現 福祉の現場から誕生した成功例
障害者が働く就労継続支援B型事業所で課題の一つとなっているのが、工賃(給料)の低さです。全国平均は時給換算にすると243円で、自立した生活を送るのには厳しい状況にあります。こうした中、大分県日出町にある施設「ハート・トゥ・ホープ」が開発した商品「かぼす珈琲」が話題となり、平均月額工賃を前年度からほぼ倍増させる成果を上げました。 【写真を見る】時給243円「あまりにも低すぎる」 障害者への工賃“倍増”を実現 福祉の現場から誕生した成功例 ■利用者も楽しく働ける環境整う 「ハート・トゥ・ホープ」では、様々な障害のある15人の利用者がブレンドコーヒーやオリジナルTシャツをつくっています。この施設で去年開発されたのが「かぼす珈琲」。大分県特産のかぼすの香りを加えたオリジナルのフレーバーコーヒーです。暮らしや社会を豊かにする商品などに贈られるグッドデザイン賞を今年度、受賞しました。 ハート・トゥ・ホープ 石井隆行社長 「大分県産のものにこだわりたい思いがあって、人の縁の結晶ですので素直にうれしく思います」 かぼすをモチーフにしたデザイン性の高さはもちろん、最大の特徴はパッケージの組み立てにあります。 デザイナー 矢野哲義さん 「折り紙の好きな利用者がいたので、1枚で折り紙のように簡単にパッケージにすることができるようにしました」 パッケージの組み立てをはじめ、豆を挽く作業からかぼすの香り付け、箱詰めまでひとつひとつが手作りです。このため、作業に加わるのが難しかった利用者も楽しく働ける環境が整いました。 (利用者)「施設のモットーが『仲良く』なので、性別・年齢関係なく仲良くしています」「この事業所でしか作れないので、やりがいを感じています」 ■「工賃があまりにも低すぎる」 かぼす珈琲誕生の背景には、ある願いがあります。B型の施設は雇用契約を結ばず、『賃金』ではなく『工賃』が支払われます。月額工賃の全国平均は年々上昇しているものの、一昨年度は1万7031円(時給換算243円)で、工賃の水準を高めていくことが課題となっています。