とんでもない増額にストップ マンション修繕積立金の引き上げに上限 100歳時代の歩き方 イマサラQ&A
Q 2月にマンションの修繕積立金についてニュースがありましたね A 修繕積立金の増額に上限を設けるものです。これまで当初は修繕積立金が低く設定され、段階的に増額されるケースが多くありました。国土交通省のデータでは平均3・6倍で、10倍以上になるケースもありました Q 1月のこの欄でも教えてもらいましたが、より売りやすくするために最初は低くするんですよね A 買い手は少しでも支払いが低いことを望みますからね。でも、低額な積立金では修繕費用をまかなえませんから、急激な増額になってしまうわけです Q 急に数倍は困ります A 増額には、マンション管理組合の総会による承認が必要です。承認されなければ大規模修繕工事ができなくなり、適正な維持保全ができなくなります。このため、急激な増額をしなくてもいいよう、適切な積立金額を設定するような指針を示したのです Q 決まりですか A 法的な拘束力はありませんが、一定の管理基準を満たすマンションを地方公共団体が認定する「管理計画認定制度」の基準の一つになる予定です。ほかのガイドラインにも同じ内容が反映される見通しなので、周知される基準になるでしょう Q 上限は何倍ですか A 長期修繕計画に基づいた改修費用の総額を月で均等に割って「基準額」を算出します。増額幅の上限は基準額の1・1倍で、新築時でも基準額の0・6倍を下限として徴収するよう示しています。下限から上限まで引き上げた場合、増額幅は約1・8倍となります Q ガイドラインができたのは良いと思うのですが、既に住んでいるマンションで長期修繕計画が見直されると、積立金が上がるかもしれませんね A その可能性はあります。資材や人件費も高騰していますし、高齢で年金暮らしという方にとっては厳しい状況になるかもしれません (回答者 マンション管理士 高辻潤司)