【高尾美穂医師が解説】更年期のメンタル不調、「引き金になりがちな出来事」と「起こりやすい症状」とは
更年期にメンタル不調に悩まされる人は多くいる。そのきっかけになりやすい出来事、そして更年期のメンタル不調がどう表れるのか具体例を知っておきたい。その日が来た時にあわてず対処できるよう心の準備を。産婦人科医の高尾美穂さんに教えてもらった。
Q. 小さなことでイライラしたり、不安感に襲われます。これも更年期症状?
A. そうかもしれません。メンタル不調だけでいくつもあります 家族のささいなことにイライラ、気力がなくて何もする気が起きない、買い物に出たが何を買うのか忘れる、仕事場でも集中力が低下してはかどらない、わけもなく不安になる、電車に乗るとパニック状態になる。 「気持ちのアップダウン、もの忘れ、集中力の低下などの心の不調は更年期症状としてもよくみられます。それに加えて、ちょうど更年期世代はライフステージ的にもさまざまなことが重なりがち。例えば、子どもが独立したことによる喪失感、親の介護、近しい人の死、仕事での重圧、さまざまな人間関係など。これらが引き金になることもよくあります」(高尾先生) 《こんなことが引き金に!》 ●子どもの独立 特に自分を犠牲にして家族のために尽くしてきた人は、子どもの独立を機に大きな喪失感が ●親の介護 子育てが一段落したとたんに、親の介護が始まるケースも。これも大きな引き金に ●近しい人の死 親、夫、同世代の友人など身近な人や、ペットとのお別れ。この悲しみは心の大きな負担に ●キャリアの変化 女性の社会進出に伴い役職についたり、不本意な部署への異動など、仕事の変化も誘因に ●人間関係 職場、家族、親戚、ご近所さんとの人間関係も、心の抵抗力が低下し始めるこの頃にはきつい 《更年期によく起こるメンタル不調》 ・倦怠感 ・イライラ ・怒りっぽい ・パニック ・自信喪失 ・不眠 ・判断力の低下 ・悲観的 ・情緒不安定 ・落ち込み ・もの忘れ ・不安 ・集中力の低下 ・食欲の低下 多くの人が経験するのがメンタルダウンの症状。今までなんとかやり過ごしてきたことでも大きな負担になり、さまざまな症状が現れる。 「落ち込んだりイライラしたり、疲れが抜けなかったり…。そんな人はまず8時間寝てみて」と高尾先生。 次回は、更年期の乾燥、ドライシンドローム について教えてもらう。 【教えてくれたのは】 高尾美穂さん 産婦人科医。イーク表参道副院長。産婦人科専門医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。ヨガ指導者。婦人科の診察を通して女性の健康を支える。テレビや雑誌、Webなどでの心や体の悩み相談をはじめ、音声発信アプリstand.fmで毎日発信している「高尾美穂からのリアルボイス」は、再生回数1100万回を超える人気番組。著書多数 イラスト/AZUSA 構成・原文/山村浩子