なぜ泥舟が浮かんでいる?屋根に木が生えている?「まるでジブリの世界」と世界中が驚いたユニークすぎる日本の建築に込められた思いとは…
2 高過庵/長野県
同じく舞台は長野県茅野市。こちらは藤森さんの実家の畑に建てられた、“たかすぎあん” というちょっとお茶目なネーミングの茶室です。 その名のとおり、この茶室は山から切り出したクリの木の上に聳え立ちます。床面の高さは6.5m。ハシゴを登って、床下の “にじり上がり口” から入室するつくりです。 ちなみに、生きた立木を使っていないので、いわゆるツリーハウスではありません。手揉みの銅板で葺いた特徴的な屋根は、以後の藤森建築の定番。 この茶室から眺める田畑の風景はまるでブリューゲルの絵画のようなのだそう。藤森さんはここで友人たちとのんびりお茶を楽しんだり、昼寝をされるのだとか。 米誌Time誌で取り上げられるなど、世界で話題を呼び、藤森さんの名前が広く知れ渡るきっかけとなった作品です。 所在地:長野県茅野市宮川389-1
3 空飛ぶ泥舟/長野県
まるでUFOのように宙に浮かぶこの物体は、2010年に「茅野市民館」で開催した展覧会で市民館前に作成した吊り上げ構造の茶室。 ハンモックのように4本のワイヤーで吊られており、地上約3.5mに浮かんでいます。見かけによらず?頑丈なつくりで、10人乗っても大丈夫なのだそう。 入る際は、専用のハシゴをかけて登ります。 のちに「高過庵」の隣に移設されました。 所在地:長野県茅野市宮川389-1
5 小泊Fuji/長野県
藤森さんの最新作がこちら。南アルプス、富士山、八ヶ岳の山並みや美しい田園風景を楽しめる、長野県富士見町の小さな集落に建つ宿泊施設です。 オーナーの山越典子さんは、かつて「空飛ぶ泥舟」のワークショップに参加し、藤森建築に惚れ込んで、この施設の設計を依頼したといいます。 チェックイン後はあえて施設スタッフが常駐しない完全にプライベートな空間。自然と調和した藤森建築の世界観を心ゆくまで堪能することができます。 また、宿泊者は記念に漆喰天井の炭貼り仕上げを体験できます(2024年8月末までを予定)。「建築は誰にでも関われる仕事があるからおもしろい」という藤森さんの言葉を体現した取り組みが魅力的な施設です。 住所:長野県諏訪郡富士見町