米国債さらなる売り見越した賭け増加、トランプ氏政策の影響警戒
(ブルームバーグ): 米国債市場では、トランプ次期大統領が掲げる政策によってインフレが再燃し、米金利が高止まりするとして、さらなる相場下落を見越す賭けが積み上がりつつある。
12日に発表されたデータによると、先物トレーダーのポジションを示す未決済建玉は2年債先物で4営業日連続増加した。これは大統領選を受け、トレーダーが弱気ポジションを構築していることを示唆する。また10月の米消費者物価指数(CPI)発表を13日に控えた動きでもある。
12日は米国債が売られる中、利回りはイールドカーブ全体で10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)余り上昇した。米国債のリターンを示す指標は、年初来の上昇分が帳消しになるまであと1.4%しかない。
シティグループのストラテジスト、デービッド・ビーバー氏はリポートで「投資家は相場の動きを追っている」とした上で、「市場は選挙結果を正しく織り込んでいた」としつつも、ショートの「投資が全般的に不十分だった」と分析した。
2年債先物の未決済建玉は、過去4営業日に約13万2000枚増加。同債券の売りによるリスクが1bp当たり約840万ドル(約13億円)増えることになる。これまでトレーダーは2年債や5年債の先物など、期間短めのショートに照準を定めてきた。
12日の取引で2年債と5年債の利回りは再び7月以来の高水準に達した。インフレ圧力を高める可能性がある減税や関税など、トランプ氏が表明した政策について投資家は評価を進めている。
米金利の先行きを見極めようとしている債券投資家や米金融政策ウォッチャーには既に、インフレが再び視野に入っている。12月の0.25ポイント追加利下げについて市場が織り込む確率は50%強に過ぎない。
米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は12日、12月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で追加利下げが適切かどうかを判断するため、今後発表されるインフレ関連データに注目する考えを示した。