年末に「ご縁」について振り返る。直感が来たら、ピョンと乗る勇気を持とう【フリーアナウンサー住吉美紀】
こんな風に、「大仏に込められた思いを大切にしたい」「つくるプロセスこそが大事」と呼びかけた結果、なんと延べ260万人、つまり当時の人口の半分以上の人が、なんらかの作業で協力した、と記録が残っているという。その時、聖武天皇は43歳。今の自分より若いリーダーの、多くの人の心を動かすことのできる言葉選びのセンス、知恵と表現力に感激した。 そしてもう一つ、森本さんの話で心動いたこと。今の自分たちから世代を遡ると、親2人、祖父母4人、曽祖父母8人、高祖父母16人…と先祖の数は倍に倍に増え、25世代前でも私には3200万人を超える先祖がいることになる。奈良時代の頃はざっくりと50~60世代前と言えるので、自分の先祖はものすごい人数だ。 当時の人口や大仏づくりへの参加者数を考えれば、自分の先祖の誰かはきっとそこに参加していたという計算になる、というのだ。つまり、私たち日本人で、思いを結集したこの大仏づくりと無関係の人はいないのだ。 この発想にたいへん感動した。1200年以上の時を超えて、大仏と私にはそんな縁があったのだ。そう思って見上げると、大仏は一層大きく、そしてお優しく見えた。そして、大仏を介すと、実は周りにいる方々みんなとつながっているという発見。「縁」は、自分が気づいている以上にずっとたくさんあって、人生を助けてくれているのかもしれない。大仏殿を出る頃には、滋味深い感情が体中に広がっていた。もはや、あまり寒さを感じない。 また奈良との縁が、確実に深まった。直接の故郷以外に、愛着が湧き、愛しく思う土地が増えていくのも、歳を重ねる喜びのひとつである。 そして50代は、よりご縁の導きに逆らわず、良い意味で”流されて”いこうと思う年末だ。直感が来たら、ピョンと乗れる勇気を忘れず。自分の核を持ちつつも、力まず緩やかに、ご縁の呼ぶ方へ。
住吉 美紀
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