頭のいい人はなぜ厳しい締め切りも余裕なのか…一瞬で「すぐ行動できる人」に生まれ変わるとっておきの方法
■「たいした記事を書けなくても、誰も気にしない」 ---------- ・最初のユーチューブ動画数本の出来がどれだけひどくても、誰も気にしない。 ・執筆の経験が少なくたいしたブログ記事を書けなくても、誰も気にしない。 ・まったくの初心者として一人でサルサダンスのクラスに現れても、誰も気にしない。 ・靴と不釣り合いなベルトをしてパーティーに参加しても、誰も気にしない。 ---------- 「誰も気にしない」という考え方は、とてつもなく大きな変化をもたらしてくれる。不安による先延ばしを減らすために、これほど簡単な方法もない。 とはいえ、これは特効薬ではない。誰でも、恐怖心とは一生つき合っていかなければならない。 この本を読んだからといって、他人からどう思われるかという恐怖が完全になくなるわけではない。 しかし、恐怖には健全なレベルのものもあれば、身動きが取れなくなるレベルのものもある。 スポットライト効果を理解すれば、先延ばしにしていたことを、今すぐにでも始められる。結果がひどいものであっても、誰もそんなことは気にしていないのだ。 ■恐怖を乗り越えるためのとっておきの方法“その2” 〈実験〉「バットマン・エフェクト」を使う 「誰も気にしていない」と自分に言い聞かせるだけでは、人前で恥をかくことへの恐怖を乗り越えられない場合もある。 もしアデルがあの日、「誰も自分のことなんて気にしていない」と自分に言い聞かせてステージの上に立っていたら、恐怖でパニックになっていただろう。なぜなら、大観衆の目がアデルに注がれていたからだ。 そんなときに助けになるのが、アデルにとってのサーシャ・カーターのような、別人格になりきることだ。これは、恐怖心を乗り越えるための強力な方法になる。この効果は、「バットマン効果」という面白い専門用語で呼ばれている。
■4歳~6歳の子供たちを対象に実験した結果… バットマン効果を最初に発見したのは、ペンシルベニア大学のレイチェル・ホワイト教授率いる研究チームだ。 同チームは、子どもたちが、自分の分身になりきることで、課題への取り組み方がどう変わるかを調べた。実験では、4歳から6歳の子どもたちに、近くでもっと楽しい遊びができるような状況で課題を与えた。子どもたちがその課題に取り組むには、遊びの誘惑に負けずに集中しなければならない。 子どもたちは3つのグループに分けられた。1番目のグループには、特に指示を与えなかった。 2番目のグループには、自分の気持ちや考えを振り返ってもらった。 3番目のグループには、憧れのスーパーヒーローやキャラクター(「バットマン」や、「ドーラといっしょに大冒険」のドーラなど)になりきるよう求めた。 その後、子どもたちが課題に取り組む様子を観察した。 その結果、偶然にも、興味深い発見が得られた。 スーパーヒーローやキャラクターになりきるように指示された子どもたちは、他の2グループの子どもたちに比べて、自制心や集中力、忍耐力が優れていたのだ。 ■想像もできないような勇気や決断力を発揮できる つまりバットマン効果は、「失敗するかもしれない」という恐怖心を乗り越え、先延ばしを克服するのに役立つ力を秘めている。恐れを知らない、自信に満ちた分身になりきることで、普段の自分には想像もできないような勇気や決断力を発揮できるというわけだ。 僕も何年も前から、不安を克服するためにバットマン効果を使ってきた。特に、人前で話すときに重宝している。僕は不安や自己不信に悩まされることが多く、長年、授業やプレゼンテーションを行ってきたにもかかわらず、自分を表に出すことに恐れを感じることがある。そんなとき、僕はジェームズ・マカヴォイ演じる『X-MEN』シリーズの若きチャールズ・エグゼビア(通称「プロフェッサーX」)になりきる。 チャールズ・エグゼビアになりきるための小道具もある。ダテ眼鏡だ。レーシック手術で視力を矯正したにもかかわらず、僕が公の場でメガネをかけているのはそのためだ。このダテ眼鏡は、スピーチをするときに陥りがちな、自分を過小評価してしまう「インポスター症候群(詐欺師症候群)」を克服するうえで重要な、“プロフェッショナルで知的な分身”になるためのスイッチを入れるのに役立っている。