頭のいい人はなぜ厳しい締め切りも余裕なのか…一瞬で「すぐ行動できる人」に生まれ変わるとっておきの方法
■“先延ばしグセ”根本は同じこと アデルの分身は、本章で紹介する、恐怖がもたらす麻痺効果を乗り越える3つ目の方法のヒントを与えてくれる。 僕たちが物事を先延ばしにしてしまう大きな理由は、他人に見られることへの恐怖だ。 大勢の人を相手にプレゼンをする、動画をインターネットで不特定多数に向けて投稿する、知り合いが誰もいないパーティーに参加する――。どのようなケースであれ、他人に本当の自分を「見抜かれる」のを恐れて行動するのをためらっていると、コンフォートゾーンの外に出て成長することはできない。 僕たちは、自分のミスや不注意、悪癖などを他人に気づかれるのを恐れている。だがその一方で、他人のミスや不注意、悪癖などにそれほど目を光らせたりはしていないものだ。 にもかかわらず、自分自身を見るとき、これらを実際以上に重要なものだと見なしてしまう。 ■恐怖を乗り越えるためのとっておきの方法“その1” これが、恐怖を乗り越えるための3つ目の方法につながる。 本章ではこれまで、恐怖の正体を知る方法、恐怖の影響力を和らげる方法について説明してきた。だが、行動に移すのが極めて困難なタスクの場合、これらの方法では不十分な場合もある。 恐怖は完全には取り除けない。だから、恐怖は乗り越えていかなければならないのだ。つまり、恐怖で身動きが取れない状態から、勇気を出して前に進む方法を見つける必要がある。 それは、あなたの人生で最も重要な人、つまりあなた自身が、自分をどんなふうに見るかを変えることから始まる。
■とある週末、友人のパーティーで起こった大惨事 〈実験〉自分にスポットライトを当てるのをやめる 僕の場合、このプロセスは友人のジェイクの家で開かれたディナーパーティーから始まった。 それは土曜日の夕方で、ジェイクの家は笑い声や話し声でにぎわっていた。彼は何週間も前からこのパーティーの準備をしていた。それは盛大なパーティーだった。テーブルを囲んでいた誰もが、ジェイクが普段の食事はほとんどウーバーイーツで済ませているのを知っていた。そんな彼が友人たちのためにビュッフェ形式の美味しい手料理をつくるなんて、前例のないことだった。 僕はふと、これは面白い冗談を言うチャンスだと思った。ジェイクが料理を運んできた。僕はみんなの会話が一段落するのを待った。そして、彼がご馳走を載せた皿を食卓に置いたとき、すかさずこう言った。 「ジェイク、ウーバーイーツで美味しそうな料理を注文してくれてありがとう」 しばしの沈黙。さらに沈黙が続いた。誰も笑わなかった。フォークやナイフが皿に当たる音がする。 ■思いもよらない友人の一言 僕の顔は真っ赤になり、身体が火照ってきた。ジョークは大失敗だ。ちっとも面白くなかった。 それどころか、何時間もキッチンに立ってせっせと料理を用意してくれたホストを怒らせてしまったかもしれない。 パーティーが終盤に近づいたとき、まだ恥ずかしさでいっぱいだった僕は、狼狽しながら友人のキャサリンに思い切って尋ねてみた。 僕はとんでもなく恥ずかしいことをしてしまったのだろうか? 友人たちの顰蹙(ひんしゅく)を買ってしまったのだろうか? もう誰も夕食に誘ってくれないんじゃないか? 彼女は驚いた様子でこっちを見た。彼女は僕が冗談を言ったことにすら気づいていなかった。「料理を取るのに忙しくて、あなたの言葉は聞こえてなかったわ。それにしても、ジェイクの料理はものすごく美味しかったわね」 つまり、それは僕のまったくの思い過ごしだった。