自治体のSDGs認証制度と渋沢栄一の「論語と算盤」
■渋沢とSDGsのシンクロニシティ
渋沢栄一は、生涯の後半に北区を本拠地として選び、王子駅近くの飛鳥山に別邸を構えた。この別邸は現在も残されており、渋沢栄一が国内外の関係者と交流を深めた場所として記念の庭園も併設されている。この歴史的な土地で、渋沢栄一は激動の時代を背景に数多くの先駆的な取り組みを行い、その足跡は現在も色濃く残っている。
渋沢栄一が提唱した「論語と算盤」の精神は、倫理と経済のバランスを重視したものであり、これはまさにSDGsの理念と共鳴するものである。SDGsもまた、持続可能な経済成長と社会的公正、環境保護を同時に実現することを目指しており、その精神は渋沢栄一の理念とシンクロしている。 北区がSDGs認証制度を導入し、地域の企業とともに持続可能な社会を目指す取り組みを進めていることは、渋沢栄一の思想を現代に引き継ぐものと言える。 渋沢栄一が北区で果たした役割と、現在の北区が推進するSDGsの取り組みは、異なる時代でありながらも、共通の目標に向けて進んでいる。このシンクロニシティは、地域の歴史と未来をつなぎ、持続可能な社会を目指すためのポストSDGsへの新たなインスピレーションを与える。 おりしも新一万円札の肖像に渋沢栄一が選ばれたことを受け、北区では「東京北区渋沢栄一プロジェクト」を展開し、公民連携で渋沢の精神と北区の魅力を全国に発信。2021年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」で渋沢が主人公となり、王子・飛鳥山周辺がさらに注目を集めた。 そして2024年7月3日の新紙幣発行を盛り上げるため、北区は紙幣を印刷する国立印刷局東京工場の存在を活かし、「新一万円札発行カウントダウンプロジェクト」を推進した。この新紙幣は外国人観光客にも強い印象を与え、渋沢栄一を世界に発信する絶好の機会ともなっていくであろう。