政権が崩壊したフランスの政情不安をどう見るか、戒厳令で混乱する韓国、トランプの米国など世界各国でカオスの連鎖
■ マクロン大統領はフランスに混乱を残して去るのか 2017年5月、フランス経済の刷新を標榜して登場したマクロン大統領は、若く強いリーダーとしてフランスのみならず、EUのコアメンバーとして辣腕を振るった。経済面では、外資系企業による対仏投資の増加などの成果を出したが、一方でフランス国民の支持を得ることはできず、国内での政治的な立場を着実に弱めていた。 やはり、7月に解散総選挙に臨んだことが、マクロン大統領にとって最大の失敗だったのだろう。マクロン大統領は「策士策に溺れる」の格言を体現したことになる。マクロン大統領がトリガーを引いたフランスの政情不安は、早期に収束する見込みは立たない。混乱を置き土産に、マクロン大統領がフランス政界を去る日は近いかもしれない。 ※寄稿は個人的見解であり、所属組織とは無関係です。 【土田陽介(つちだ・ようすけ)】 三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)調査部副主任研究員。欧州やその周辺の諸国の政治・経済・金融分析を専門とする。2005年一橋大経卒、06年同大学経済学研究科修了の後、(株)浜銀総合研究所を経て現在に至る。著書に『ドル化とは何か』(ちくま新書)、『基軸通貨: ドルと円のゆくえを問いなおす』(筑摩選書)がある。
土田 陽介