「七五三」と書いて、「しめ」と読む、その由来は?【難読名字解説】
難読名字:七五三(しめ)
名字を漢字とひらがなで書く場合、通常は漢字の方が文字数が少なくなります。もちろん、「佐々木」のように漢字でもひらがなでも同じ文字数というのもありますが、この「七五三」という名字は、漢字で書くよりもひらがなで書いた方が文字数が少ないのです。 この名字は、正月を迎えるに際して、家の玄関などに飾る「しめ縄」に由来します。 では、しめ縄を漢字ではどう書くかご存じでしょうか。「しめ縄」は、一般的には「注連縄」と書きます。しかし、他の書き方もあります。 しめ縄は中央部が太くなった横向きの縄から、下に向かって3本の紐(紙垂・しで)を垂らした形になっています。古い時代では、この垂らした3本をそれぞれ7筋、5筋、3筋の藁でつくっていました。そこから、「しめ縄」を「七五三縄」とも書くのです。 そして、「七五三縄」で「しめなわ」と読むなら、「七五三」の部分だけをとれば「しめ」だろう、ということで「七五三(しめ)」という名字が生まれたのです。 現在は関東地方の名字で、とくに利根川の下流域に多くあります。また、ここから派生して生まれた「七五三木(しめぎ)」や「七五三掛(しめかけ)」という名字もあります。
森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家 1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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