ビットコインの米国株・イーサリアムとの相関性が弱まる:CoinDeskアナリスト
ビットコイン(BTC)は本記事執筆時点で約9万2000ドル(約1426万円、1ドル155円換算)の価格水準にあり、年初来115%以上上昇している。同時に、トレーディングビュー(TradingView)の指標TOTALによると、暗号資産(仮想通貨)市場全体の規模が3兆250億ドル(約469兆円)を突破し、史上最高記録を更新した。 市場はビットコインをリスクオン資産とみなしている。資産はリスクの度合いが高いほどリスクカーブ上で外側に位置づけられる。 グラスノード(Glassnode)のデータによると、ビットコインの過去30日間のインプライドボラティリティは約60%だ。しかし、この数値は2021年の100%超から低下している。ビットコインに対して適切にセルフカストディが行われていれば、その基本的特性から固有のカウンターパーティリスクはないと考えられる。 ビットコインはリスクオン資産とみなされているため、同じくリスクオン資産である米国株式との相関性が高い傾向にある。ただし、米国株式はリスクカーブ上でビットコインほど外側ではない。 トレーディングビューのデータによると、30日間の相関ベースで過去5年間に、ビットコインとナスダック総合指数が1対1の相関を示す期間があった。これは2021年と2022年に顕著で、両資産は共に上昇し共に下落した。いわば一蓮托生の関係だった。 この傾向は2024年前半まで続き、ビットコインは3月に史上最高値を更新して7万3000ドルを超えた。しかし、3月以降はナスダックが史上最高値を更新し続ける中、ビットコインは5万ドルから7万ドルの長いレンジ期間が続いた。だが、11月6日にドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が米国大統領選挙で勝利して以降、ビットコインは上昇を続ける一方、ナスダックは停滞している。 現在の両資産の30日間の相関係数はわずか0.46で、過去5年間で最低レベルの数値だ。一方、9月には-0.50に近いマイナスの相関関係が観測されていた。 トランプ氏が米国大統領選挙に勝利して以来、ビットコインは9万3000ドルを超える史上最高値を記録し、ナスダックもその直後に史上最高値を更新した。しかし、興味深いのは、ナスダックが史上最高値から4%下落している一方、ビットコインは史上最高値からわずか1.5%強の下落にとどまっている点だ。 Investing.comのデータによると、2024年これまでの222取引日のうち、ビットコインのCME先物(週5日取引)とナスダックが同じ方向に動いたのは52%にすぎない。しかし、過去4取引日のうち3日は、ビットコインが上昇する一方でナスダックが下落している。これはサンプルサイズが小さいかもしれないが、注目に値する。 フィデリティ(Fidelity)のデータでは2つのチャートが示された。左のチャートは過去5年間の主要資産クラスのシャープレシオを示している。シャープレシオは投資のリターンとリスクを比較する指標だ。データによると、ビットコインはリスクに対するパフォーマンスの面で最良の資産クラスとなる。 2つ目のチャートは主要資産のS&P500との相関性を示している。ビットコインはS&P500との相関性が19%にとどまっており、比較的小さい。 このデータは、ビットコインが特定の時期、特にリスクオンやリスクオフの時期にはリスクオン資産と相関することを示唆している。しかし、長期的に見ると、特に2024年下半期にはビットコインとナスダックの相関性に乖離が見られ始めている。 ビットコインがより大きな資産クラスになるにつれ、市場がこの資産をより理解するようになり、独自の動きをするようになると予想される。現在は時価総額で7番目に大きい資産クラスだ。