大阪万博へはクルーズ船で 周辺観光の活性化も期待 大阪府など運航事業者誘致に注力
2025年大阪・関西万博を契機に、大阪湾での海上クルーズ商品開発を充実させる動きが本格化している。万博会場の夢洲(ゆめしま)への海上アクセス手段となることに加え、船上から眺める大阪湾の夜景や夢洲、船内での食事など移動だけではない楽しみが提供でき、観光振興につながるとの期待があるためだ。万博期間中、神戸-大阪間で大型クルーズ客船の運航が予定されており、大阪府などはさらなる誘致を目指す。同区間で府が開催した体験クルーズに参加した。 【写真でみる】万博期間中に神戸-大阪間で運航予定のクルーズ船「ルミナス神戸2」 ■移動中の体験充実 11月中旬、神戸港にクルーズ船「ルミナス神戸2」(4778トン、旅客定員千人)が停泊した。大阪港(天保山)まで約2時間。ビュッフェランチや船上からの万博会場の眺望を楽しむという内容だ。 同船は普段、ほぼ同規模のもう1隻の船とともに、神戸沖などでのレストランクルーズに利用されている。「大阪湾でレストランクルーズを運航しているのはうちの2隻だけです」。ルミナス神戸2を運航する神戸クルーザー(神戸市)の島口明人IR・万博推進室長は話す。 この日は雨で船上からの風景はグレー一色だったが、晴れていれば大阪湾の景色や夕日も楽しめる。 クルーズの終わりに夢洲が見えてきた。雨の中でありながら、万博会場の大屋根(リング)や工事にあたるクレーン、建設中のパビリオンなどが確認でき、その景色は大阪港に近づくほどに大きくなっていった。 ■大型船で団体輸送 神戸クルーザーによると、ルミナス神戸2は日本最大のレストランクルーズ船。50~220人を収容できる部屋を6つそなえる。 神戸-大阪間の航路開設には、万博の観光客を取り込み、大阪湾クルーズの新たな可能性を探る狙いもある。「神戸への観光促進になれば。クルーズは外国人にも人気があり、インバウンド(訪日外国人観光客)にもアピールしていきたい」と意気込む。 万博見学を計画する小中学校などからの団体利用問い合わせも増えているといい、船内で環境問題などを学ぶ学習プログラムや船内見学ツアーを設けるプランを提案。運賃は1人片道3千円、往復5千円程度を想定する。また、団体は50人以上から受け入れ、予算に合わせてビュッフェやコース料理も用意できるといい、島口室長は「リクエストに応えて随時運航したい」と話した。 府も、大阪湾でのクルーズ船就航をさらに増やしたい考えだ。この日の体験クルーズでは、旅行会社や観光船の運航事業者なども集め、府の担当者らが大阪の観光地などをPR。万博会場への行き帰りに合わせて周辺の観光も組み込んだ商品開発を期待する。