井上尚弥が2日後に迫ったドネアとの3団体統一戦&再戦を前に「負ける気がしない」と豪語した理由とは?
「キャリア最大の試合」、「私の心に火がついた」と、リベンジに燃えるドネアのモチベーションも最高潮。39歳にして再びピークを迎えようとしている“レジェンド”の気合の入れ方が、さらに井上のモチベーションを高めたとも言える。 「ドネアがどういう作戦を立ててくるかによるが、自分はどんなドネアでも対応できるように準備してきている。1戦目以上にインパクトのある試合ができるんじゃないですか」 1戦目が名勝負となったのは、劣勢の予想されていたドネアが放った一発の左フックである。ドネアは、今回の試合を「駆け引きの試合になる」とも語っており、またどんな仕掛けをしてくるかわからない不気味さはある。1戦目以上のインパクトを見せれるかどうかは、その左フックを井上がどう封じるかにかかっている。詳しい展望については、後日、書くが、その対策こそ「再戦」に強い井上の本領発揮の部分である。 「スパーリングに関してもアマチュアの試合に関しても、一度、手を合わせた選手の方がより合わせていける」 井上は、相模原青陵高校2年時の2010年に“飛び級”で全日本選手権に挑戦したが、その決勝戦で、当時、駒大3年の林田太郎に判定で敗れた。 だが、2011年の世界選手権の代表選考会、その年の全日本選手権と連続で判定勝利し、リベンジに成功している。 また前人未踏の8冠を狙った2010年の沖縄インターハイの準々決勝でも定時制4年の野邊優作(兵庫・西宮香風高)に判定で敗れた。拓大に進学した野邊とは、その後、公式戦での対戦機会がなかったため、拓大まで、スパーリング勝負を挑みに行き、異様なアウエーの雰囲気の中で、内容で圧倒、リベンジを果たしたこともあった。 リングに上がった1ラウンドに相手の力量を察知する能力に長けているのが、井上の強さの秘密のひとつ。何が危険で、何が有効かを瞬時に判断できる。一度、手を合わせれば、その作業が省かれることとなり、なおさら強さが増す。再戦への強さも井上が「負ける気がしない」と発言した根拠の一つだろう。 また右目の問題で、バランスが崩れ、体重が拳の一点に乗る威力のあるパンチをほとんど打つことができていなかった井上が、万全の状態でパンチを繰り出せば、どうなるかという期待がある。 インタビューの最後の方で、4日前の時点での減量の進み具合を聞かれ「あと6キロ」と答え「え?」と、その場にいた関係者を驚かせた。 「冗談。これが言えるくらい調子がいいってこと」 井上は、満面の笑顔で“種明かし”をして現場を爆笑に包んでいた。 明日6日に控えている前日計量と新型コロナの最終検査をクリアすれば、いよいよ井上尚弥の新たな伝説の第2章のゴングを迎える。 「全力を尽くして勝利をつかみたいと思うので、6月7日は本当に期待して見ていて欲しい」 井上はそんなファンへのメッセージで直前インタビューを締めくくっていた。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)