井上尚弥が2日後に迫ったドネアとの3団体統一戦&再戦を前に「負ける気がしない」と豪語した理由とは?
日本初となる3団体統一戦を2日後に控えたWBAスーパー&IBF世界バンタム級王者の井上尚弥(29、大橋)がWBC世界同級王者、ノニト・ドネア(39、フィリピン)との再戦(7日・さいたまスーパーアリーナ)に向けての心境を明かした直前インタビューが4日、公開された。公式YouTubeチャンネル「PXB OFFICIAL」に、2021年12月に行われたWBA10位、IBF5位アラン・ディパエン(タイ)とのダイジェスト映像がアップされ、特典として貴重な直前コメントが収録されたもの。井上は「自信しかない。負ける気がしない」と豪語した。モンスターのその自信の根拠とは?
「コンディションは過去最高」
特別公開された直前インタビューは3日に横浜市内で行われた公式会見後に同じホテル内で収録されたもの。井上は公式会見では語らなかった言葉を発した。 「自信しかない。負ける気がしない」 おそらく、それが本音だろう。 公式会見ではドネアへのリスペクトの気持ちもあり挑発するような過激発言を控えていたのかもしれない。 根拠はある。 「コンディションは過去最高だと思っている」 ここまでのプロセスだ。 井上の自信は、試合が決まった時点で「ゼロ」から構築し始めて、リングに上がる直前に出来上がる。「この試合が決まってから成長できた」とも会見で語っていたが、その最高のコンディションは、ドネアという好敵手を迎えたことで作り上げられたのだ。 「ドネア戦から3試合やったが、モチベーションがここまで上がりきった試合はなかった。最高のモチベーションでトレーニングを積めた」 2019年11月にさいたまスーパーアリーナで行われたドネアとのWBSS決勝は「ドラマ・イン・サイタマ」と称される名勝負となった。2ラウンドに一瞬の隙をつかれて、ドネアの“伝家の宝刀”の左フックを浴びて右目に眼窩底骨折のダメージを負った。そこからの数ラウンドは、モンスターはモンスターではなくなっていた。いや、右目がかすむ状況で、5階級制覇王者で主要4団体のすべてのベルトを巻いたレジェンドからポイントを積み重ねたのだから、やはりモンスターか。 11ラウンドに左のボディショットで「幻の10カウント」を聞かせるダウンを奪った。それでもKO決着をつけることができなかった。 怪我の回復を待って、2020年10月に米国ラスベガスでの無観客試合で上位ランカーのジェイソン・マロニー(豪州)を7回KOで撃破。昨年6月には指名試合でIBF世界同級1位のマイケル・ダスマリナス(フィリピン)を3回TKOで沈め、12月に今回ダイジェスト映像が公開されたディパエンを8回でレフェリーストップさせた。 マロニー戦は、新型コロナ禍ゆえの無観客試合とはいえどもラスベガスデビュー戦。ダスマリナスは4団体統一に向けて避けて通れぬ指名試合。そしてディパエン戦は、ドネア戦以来となる日本での凱旋試合。それぞれに戦う理由と価値のある試合ではあったが、外的要因で作られたモチベーションであり、井上がボクサーとしての究極の緊張感を持ち、自らを高めてトレーニングを積んだ今回のモチベーションとは比べものにはならなかった。