幼少期は浴槽に閉じ込められ…恨んだ父に何度も斧を振り下ろしたのは「気持ち良さそうに寝ていたから」 息子に懲役11年
【検察側の質問】 ――なぜ殺害を決意したのですか 被告「自分はこの1週間、水だけで何も食べていないのに、焼酎を飲んで、いびきをかいて、気持ちよさそうに寝ていたからです。なんで自分だけ辛い思いをしなければいけないんだと思いました」 ――後悔はありますか 被告「はい、法を犯し、殺人という行為を選んだことに反省と後悔があります」 ――被害者に対して、申し訳ないとは 被告「…申し訳ないという気持ちは大きくはありません。父が死に、解放されたという思いがあるので」 ■求刑は「懲役14年」 論告求刑で、検察側は「寝ている無抵抗な父親に対しておのを振り下ろした。強固な殺意に基づく執拗で残虐極まりない犯行」と主張。「父親による過去の暴力は許されるものではないが、殺人を正当化する理由にはならない」などとして、懲役14年を求刑した。 一方、弁護側は「極限の精神状態の中とっさに起こした行動で、計画性はない」として、懲役7年程度が相当だと主張した。 裁判長から「最後に言いたいことはないか」と問われた志水被告は、少し間を空けてから「殺人という重い罪を犯したことを償うため、これから反省しようと思います」と答えた。 ■「理不尽な扱い 一定程度考慮できる」とするも…判決は 11月14日の判決で、熊本地裁の中田幹人(なかた まさと)裁判長は志水被告に懲役11年を言い渡した。 中田裁判長は判決理由で「苛烈かつ残忍な犯行、衝動的な怒りに駆られた強固な殺意があった」とする一方、「幼少期から理不尽な扱いを受けて長年にわたり恨みを募らせていたうえ、犯行当時は追い詰められた状況であったことは一定程度考慮できる」と述べた。 判決を読み上げた後、裁判長は志水被告に対して「お父さんの命を奪ったという自分の行為、罪の大きさに向き合ってほしい。どのような償いをするべきか考え続けて」と諭した。
熊本放送