幼少期は浴槽に閉じ込められ…恨んだ父に何度も斧を振り下ろしたのは「気持ち良さそうに寝ていたから」 息子に懲役11年
――高校の学費は払ってもらっていましたか? 被告「いいえ。卒業の日に学校から『授業料が納入されていない。このままでは卒業できない』と言われ、父親には取り合ってもらえず、近所の人に借りて何とか卒業しました」 ――借りたお金はどうしましたか 被告「高校卒業後、アルバイトをして返しました」 高校卒業後、神奈川県でバイトを掛け持ちして働いていたという志水被告。しかし2011年に過労で倒れ「うつ病」と診断されてからは再び地元に戻ることになった。生活保護を受けたり、職を転々としたりしていたが、やがて働けなくなり自殺未遂に及ぶこともあったという。 父親には実家で暮らすことを拒否されていたものの、妹の協力もあり2023年から実家で父親との2人暮らしが始まった。 事件はその1か月後に起きた。 ■検察側「食事を用意してもらったことについては?」 志水被告の実家は八代市の山中にある。ハローワークに行くため、父親に車を貸してほしいと何度か頼んだものの断られていたという。 【検察側の質問】 ――同居している間の食事は 被告「父が作ったものを食べていました」 ――家や、食事を用意してもらったことについて「ありがたい」とは思いましたか 被告「その点については感謝しています」 事件の1週間前、父親の「飯を食わせてもらっているのに仕事をしない」という言葉をきっかけに口論となり、志水被告は家出する。実家に隣接する納屋で寝泊まりする中で、現状から逃れようと再び自殺の準備を進めていた。 しかし9月21日、水を飲むために母屋に入ったところで、玄関にあったおのに目がとまった。 【弁護側の質問】 ――その時、どう思いましたか 被告「これなら父親を殺せるかもしれない、と思いました」 ――なぜそう思いましたか? 被告「苦しい状況から逃れたい。父親がいなくなれば、この苦しみから解放されると」 ■検察側「後悔はありますか」被告の答えは おのを手に取った後、志水被告は1~2時間葛藤した。「父親の様子を見て判断しよう」と考えて向かったリビングで、いびきをかいて寝ている父親を見た時に殺害を決意したという。