北陸3県の頂点に立つ米菓「ビーバー」が破竹の勢い 他社から承継した“知る人ぞ知る”ブランドに当時26歳の社長が光 世界を展望
プロジェクト始動から間もなくして強力な追い風が吹く。 2019年7月、NBA・八村塁選手からお裾分けされた「白えびビーバー」をチームメートが絶賛する動画がSNSで拡散されると大ヒット。供給が追いつかず直営店や北陸3県のスーパーでは入荷待ちの状態がしばらく続いた。 「八村選手のお陰でブームになりSNSでは賛否両論で物凄い量の情報が飛び交った。社内では“熱狂”と言っているが、この熱狂の状態を作っていくことこそが全国や世界に届けていくのに最大の近道だと感じた」という。 「白えびビーバー」は、石川県・富山県・福井県の北陸3県での「ビーバー」の地位を確立すべく開発された北陸限定商品。ブームの余波で、北陸3県以外からも引き合いが寄せられ、岐路に立たされる。 3県以外からの出荷要請に対しては「ブームを機に全国に打って出る選択肢もあったが、まずは北陸3県で圧倒的一番に立たなければいけないと考え、北陸物産店など一部を除き、基本、北陸3県でしか売らないという姿勢を貫いた」。 この判断により熱狂を維持。ブームが起こった2019年以降、「ビーバー」の売上は反動減に陥ることなく右肩上がりに推移する。
北陸製菓の前期(8月期)売上高は2018年度比で2ケタ増を記録。「ビーバー」ブランドはその間、売上規模を数十倍に拡大し、売上構成比は主力のビスケットと拮抗するまでに高まる。 2020年、「白えびビーバー」が北陸3県の米菓売上No.1に浮上。以降、3県でトップの地位を固め今年、全国拡大に向けて布石を打つ。 3月、北陸新幹線の金沢‐敦賀間開業を記念してJR西日本グループのジェイアールサービスネット金沢と連携して「JR西日本限定ビーバー」の発売を開始。
5月16日から7月1日にかけては、東京おかしランド(東京都千代田区)に期間限定ショップ「ぶち揚げ☆ビーバーランドTOKYO」をオープンした。 東京おかしランドへの出店については「北陸以外の方や『ビーバー』をご存知でない方にも『ビーバー』に触れていただき、売れ行きも順調だった」と総括する。 そのほか人気キャラクターや人気アパレルとのコラボも矢継ぎ早に展開している。 コラボの実施にあたっては迅速さを重視。 その原動力は、髙﨑社長が醸成してきた仕事を先送りにしない社風にある。 「現在進めているコラボは2か月で何とか間に合わせようとしている。当社には“明日会議があるからこの案件は明日でいい”といった考え方はあまりない。LINEなどで数分の間に決済し稟議書が後手に回ることも多い。来週に持ち越すような案件も数分で決めたりしているので、同じ時間軸でみると、通常の何十倍もの仕事量がこなせている気がする」と説明する。