配信初日から連続1位の話題作『極悪女王』で大反響、唐田えりか×剛力彩芽「人生と命を全部ぶつけて挑んだ」
Netflixにて配信中で、1980年代の女子プロレスブームを題材に、当時の人気レスラーたちの激闘や心の葛藤を描いたドラマシリーズ『極悪女王』(全5話)が大きな反響を集めている。配信から約2週間が経過した現在(10月5日時点)も、配信初日から16日間連続で日本の「今日のTOP(シリーズ)」1位、さらには「Netflix週間TOP10(シリーズ)」でも2週連続1位を獲得した。 【写真】『極悪女王』の場面写真より、キメポーズをするクラッシュギャルズ なかでも話題となっているのは、劇中、主人公であるヒールレスラー、ダンプ松本(ゆりやんレトリィバァ)のライバルであり、新人時代の仲間でもある長与千種、ライオネス飛鳥を演じた、唐田えりかと剛力彩芽。「クラッシュギャルズ」というタッグ名でアイドル的人気を博しながら、ダンプ松本に苦渋を味わされ続ける二人。そんな役について、唐田、剛力に話を訊いた(取材・文/田辺ユウキ)。
■ 「気持ちが昂ったまま、今もまだ終わり切っていない気持ち」(唐田)
──劇中の激闘の数々、胸が熱くなりました。お二人も撮影をすべて終えた瞬間、達成感があったのではないですか。 剛力:まさに「やり切った」という思いがありました。すでに撮影を終えていた役者のみなさんも集まってくれて。撮影後、みなさんと「うわー、終わったね」と盛り上がりました。 唐田:私はクランクアップ後もずっと気持ちが昂ったまま、今もまだ終わり切っていない気持ちです。こんなに長い期間、準備や撮影をした作品は経験がなく、なによりずっと役のことを考えて生活していたので。作品の盛り上がりを目の当たりにしたら、「あれはドキュメンタリーじゃなかったんだ」と、やっと冷静になれるかもしれません。 ■「芝居をせずとも勝手に芝居ができていた」という感覚に(剛力) ──唐田さんがおっしゃるように、役者のみなさんにとっては、メンタル的にも肉体的な意味でも「ドキュメンタリー」と言える気がしました。これは愚問かもしれませんが、あえて伺います。試合のシーンではもちろんアクションの段取りに沿ってやっているはずですが、あれだけ白熱すると「これは演技なんだ、撮影なんだ」という意識が飛んじゃうんじゃないですか。 唐田:実際に私たちも試合のシーンは、「撮影」ではなく「試合」と呼んでいたくらいだったんです。試合に備えて、その前日も自分の身体をメンテナンスしていました。あとなにより作品の準備段階からレスラーマインドを身に付けていったので、試合のときに出てくる感情もすごくリアルでした。こちらが意識しなくても、自然と悔しさやうれしさが溢れてきたんです。 ──なるほど。 唐田:特に印象深かったのが、千種がダンプ松本に髪切りマッチで敗れ、髪を刈られるシーン。実はあの試合の撮影は、時間の都合もあって、ダンプ松本と戦っている最中と、10カウントのゴングや髪切りの儀式は、別の日に撮影したんです。しかも私は実際に髪を切ることになっていたから、撮影日が別になることで「気持ちをちゃんと持っていくことができるかな」と心配になりました。 というのも、戦っているシーンの撮影後は本当に悔しくて、家に帰ってもずっと泣いていたくらいだったので。でも、いざ10カウントの撮影日になり、私を見下ろすゆりやんさんの顔を目の前にしたら、ちゃんと悔しさを繋げることができた。こんな風に気持ちを繋げていってお芝居をした経験は初めてでした。 剛力:逆に私は試合のシーンでも俯瞰で見ているところがあったんです。もちろん、感情面はその場で生まれるものが多かったんですが、「プロレスを演じる」という意識はずっと持つようにしていて、「自分も、相手も怪我をしてはいけない」と思いながら動いていました。またそういう冷静さは、飛鳥さんのキャラクター的にも通じる部分があると思っていました。ただ、今振り返ると、そういうところも含めて「芝居をせずとも勝手に芝居ができていた」という感覚だったかも。 ──それもまた特殊な意識ですね。 剛力:特に私の場合は、千種を演じた唐ちゃんを見ていることが多かったから。彼女が放つ目力に、こちらも自然と心が動く。そしてなんだか、心の底から「千種のことを守りたい」という気持ちが湧き上がってきました。