発達障害「圧倒的な切実さとリアリティー」現在進行形の魂の叫び…中島栄子さん「モルヒネ」九州戯曲賞大賞
審査を担った劇作家の市原佐都子さんは「書かれている事柄のリアリティーが非常に強く」「語られることのまだ少ない人の声を書いている点でこの作品の存在意義を感じた」と評した。
一方で、別の審査員からは「上演されて真価が問われる」と舞台化の難しさを指摘する声もあった。今回、演出を担当したのは、福岡を拠点に活動する劇団「非・売れ線系ビーナス」の木村佳南子さん(42)。脚本を読んだ木村さんは「中島さんの現在進行形の問題で、魂の叫び。せりふの熱量が高く生々しいところが難しい。介護や病気、親戚関係の問題などは誰にでも起こりうること。観客に登場人物の背景を想像させるようにしたい」と語る。
現在はコールセンターに勤める傍ら福岡の「アクションチームJ―ONE」所属の役者として活動している中島さん。「子供の頃から物語が頭に浮かんでいた。今も歴史物など書きたいことはいっぱいある。きれい事にならないように心がけたい」と語る。
公演は福岡市博多区のぽんプラザホールで、12月12、13日が午後7時半から、14日が午後2時から。
◆九州戯曲賞=九州地域演劇協議会(福岡市)が2009年から九州全体の演劇のレベルを上げることを目的に開催。九州7県で活動する作家が対象で、応募者に1次審査の講評を行うのが特徴。近年は隔年開催で、次回は26年を予定している。