韓国与野党、憲法裁判所人事巡り駆け引き-尹氏は徹底抗戦の構え
(ブルームバーグ): 韓国の与党は、憲法裁判所の裁判官指名を遅らせようとしている。尹錫悦大統領罷免の可能性を高めようとする野党の取り組みを阻む狙いがあるとみられる。
大統領の罷免には、憲法裁判所の裁判官6人以上が支持しなければならないと韓国の法律では定められている。同裁判所の裁判官は定数9人だが、3つの空席が埋まっておらず、現在は6人しかいない。尹大統領の弾劾に成功し、勢いづく野党の「共に民主党」は可能な限り早期に空席を埋めたい考えだ。裁判官が6人では全員が罷免を支持する必要があるが、9人なら3分の2が支持すればよいことになるからだ。
与党「国民の力」の院内代表を務める権性東議員は17日、裁判官の空席を埋めようという野党の提案に反対を表明。2017年に朴槿恵大統領の弾劾裁判中に裁判官1人が退職したものの、黄教安大統領代行が補充の裁判官指名を控えたことを引き合いに出し、憲法裁裁判官の正式な指名を韓悳洙大統領代行がするべきではないと主張した。
共に民主党の朴賛大・院内代表はこの主張を退け、同党として裁判官指名を推進すると述べた。これまでに候補は挙がっており、野党が2人を、与党が1人をそれぞれ推薦した。
現職の憲法裁裁判官6人のうち、4人は文在寅前大統領または文氏が任命した最高裁判所裁判官の指名を受けた。残る2人は1人が尹大統領によって、もう1人は尹氏が選んだ最高裁長官によって指名された。
憲法裁裁判官に新たに3人が加わる場合、6人が文氏やその出身政党によって、3人が尹氏の勢力によって指名された格好となる。だが、朴元大統領の弾劾では、憲法裁判所の裁判官の一部は朴氏によって指名を受けていたにもかかわらず、裁判官全員が罷免を支持した。
文氏は尹氏の弾劾を支持し、次期大統領候補の支持率調査でトップを走る共に民主党の李在明代表への支持を公に表明している。
一方、尹氏は徹底抗戦の構え。弁護団の結成を進め、内乱罪の容疑を否認すると、聯合ニュースが同氏の弁護人の話として報じた。