「エディアカラ紀」の地磁気は弱かった 生物が大型化した理由の可能性
■エディアカラ紀の地磁気は極端に弱かった!
Huang氏らの研究チームは、手掛かりがほとんどないエディアカラ紀の地磁気の強さについて調査を行いました。古い時代の地磁気の強さを測るには、岩石に含まれている地磁気に反応する鉱物を調べる必要があります。しかし、エディアカラ紀やそれ以前のような極端に古い時代の岩石の場合、鉱物自体が風化や変質を起こしている可能性があるため、測定データの信憑性の程度が分からないという問題がありました。 そこでHuang氏らは、鉱物の「SCP」という値を測定しました。SCPとは「単結晶古強度(Single Crystal Paleointensity)」の略ですが、これは鉱物の結晶中に刻まれている、その時代の地磁気の値を直接読み取る「絶対古地磁気強測定度法」という手法を指します。 SCPには鉱物の風化や変質の影響を受けにくいという利点があるにも関わらず、1000分の1mm(1μm)に満たない小さな鉱物結晶を多数測定しなければならないという理由から、最近まであまり利用されてきませんでした。しかし、技術革新によって短時間で小さな試料を数多く測定できるようになったため、今回のような研究が行えるようになりました。 Huang氏らは、ブラジルのパッソ・ダ・ファビアナ(Passo da Fabiana)で採集された約5億9100万年前のエディアカラ紀の岩石と、南アフリカ共和国のブッシュフェルト複合岩体で採集された約20億5400万年前(※2)の岩石に含まれる鉱物のSCPを測定しました。また、SCPの測定値が妥当かどうか、岩石の他の性質とあわせて検証しました。 ※2…古原生代リィアキアンの末期。 その結果、約20億5400万年前の地磁気は現在とほぼ同じ程度の強さであったのに対し、約5億9100万年前の地磁気は最小で現在の約30分の1という極端に弱い状態となっていたことが分かりました。過去の研究と併せて検討すると、地磁気の強さが現在の10分の1以下であった時代が約2600万年も続いていたことを意味しています。これほど長期に渡って地磁気が極端に弱かった時代があったことは予想以上の発見です。