睡眠を考える──「質の良い眠りには、なぜ朝のタンパク質が欠かせないのか?」
朝食が重要なもう一つの理由とは?
──なるほど。朝にタンパク質を摂ることの大切さがよくわかりました。 朝食の重要な役割はもう1つあります。朝ごはんを食べると日中の体温が上がり、そして、夜は体温が下がることで眠くなる。良い眠りのためにも、体温のメリハリをつけることが重要なのです。日中は活発に活動して、できればウォーキングなどで体を動かせるとさらにいいですね。 ──1日2食の人も、3食にしたほうが良いのですか? 健康を維持するためには、3食食べることが大切です。例えば、たんぱく質は食べ溜めが出来ない栄養素です。朝食を抜くとタンパク質不足になり、筋肉量が減るという報告もあります。1日2食では、1日に必要な栄養素が摂れなかったり、血糖値も乱高下してしまいます。糖尿病や脂肪肝のリスクも高まってしまうのです。 「帰りが遅く、夕食を食べるのが深夜なので、朝お腹が減らない」「朝起きれない」など、朝ごはんを食べない理由はいろいろ考えられます。ですが、朝ごはん抜きが習慣化してしまうと、胃腸が動きにくくなるので、急に食事を摂るとお腹の調子が悪くなったりします。そういった人は、朝はまず豆乳やプロテインなどで、毎日同じ時間に胃に何か入れるようにすると良いでしょう。だんだん胃腸が動き始めるので、次第に朝からお腹がすくようになってきます。 ──「これを食べればすぐ寝られる」という、魔法のような食べ物があるわけではないんですね。 人間の身体は複雑なので、バランスの良い食生活をコツコツ続けることが大事です。この記事を読んで「朝タンパク質を摂ろう。トリプトファンを摂ろう!」と急に食べ始めても、その日の夜にすぐにメラトニン分泌につながるわけではありません。継続することでメラトニンが作られやすくなるので、長いスパンで続けることが重要です。また、夜は寝る3時間前に食事を終わらせておくことも、良い眠りのためには欠かせません。お腹ぺこぺこじゃ寝られないですけど、消化吸収には3時間くらいかかるので、寝る3時間前には食べ終えて、「なんかお腹空いたかな?」くらいの状態で寝るのがベストです。 ──「あー、お腹いっぱい!」と、食後すぐに寝るのは最悪なんですね。 そうですね(笑)。眠っている間にも胃が活発に動き続けると、睡眠の質が下がってしまいます。たまに飲みに行くのは良いと思いますが、大切なのは、回数の多い食事のほう。週に1回飲みに行くのを「どうしよう」と思うのではなく、それ以外の週6の食事をきちんと整えることのほうが大切です。