EUは商用車に義務化 日本メーカーの自動ブレーキの仕組みと現状は?
決して万能ではない自動ブレーキ
このような点から自動車メーカー側としても、自動ブレーキは安全性の向上に加えて“売れる車”を提供する上で重要なファクターといえます。現時点ではコストと性能のバランスが難しい高額なシステムでも、搭載車両が増えればコストダウンにつながるでしょう。 しかし一方で、自動ブレーキに起因する事故も発生しています。2013年11月にマツダの販売店が開催した運転支援システム「スマート・シティ・ブレーキ・サポート(SCBS)」の体験試乗会では、試乗車両であるマツダのSUV「CX-5」がフェンスに激突した事故が発生しました。これは故障や異常ではなく、自動ブレーキの作動範囲である30km/hを超えていたことが原因でした。また、2013年5月にはトヨタのクラウンが首都高速道路で走行中に急ブレーキがかかり後方車両に追突される事故が発生。同6月には、三菱の車がトンネルの壁を先行車と誤認して自動ブレーキがかかる不具合が判明し、両社ともにリコールを出しています。 こうした事故を見ても分かるように、ユーザーとしても自動ブレーキは“万能ではない”ことを覚えておかなければいけません。技術の進化によって誤検知や誤動作などは減ると思いますが、それでもシチュエーションにより100%動作するとは限りませんし、過信して人為的ミスが発生する可能性もあります。それ以前に大前提として、自動ブレーキは“ぶつからずに必ず止まる”ことを保証するものではなく、あくまでも衝突時の被害を軽減するための安全補助装置であることを十分に理解した上で、安全に気を配って運転することが求められるでしょう。