EUは商用車に義務化 日本メーカーの自動ブレーキの仕組みと現状は?
赤外線レーザーについては、照射した赤外線レーザーの反射によって障害物を検知します。検知範囲は数十メートル程度の近距離に限られますが、低コストかつコンパクトに搭載できるのがメリットです。 各自動車メーカーは、それぞれメリット・デメリットのあるこれらの検知方法を組み合わせ、独自の自動ブレーキシステムを開発しています。主なメーカーを一覧化しましたので参考にしてください。
国交省による性能評価とランク付けも予定
日本での関心度が高まっている自動ブレーキですが、実は現時点で日本よりも欧州の方が普及に向けた取り組みが進んでいます。EUでは、すでに2013年11月からすべての新型商用車に対して自動ブレーキの搭載を義務化しているほか、2015年11月には義務化の対象範囲が全商用車の継続生産車に拡大される予定です。こうした影響もあり、EUの自動車メーカーでは義務化対象の商用車だけでなく、乗用車にもいち早く自動ブレーキの技術を盛り込んできました。 一方、EUと比べて1年ほど後れをとりましたが、日本でも国土交通省が2014年11月から新型の大型トラック・バスに対して自動ブレーキの搭載を義務化し、2017年11月からは継続生産車への適用を行う見込みです。このきっかけとしては、2012年4月29日に関越自動車道で発生した高速バスの衝突事故が大きく影響したといわれています。 さらに国交省は2014年度から、自動ブレーキに関して車種ごとの性能差を評価する仕組みも導入する予定です。前述の通り、自動ブレーキはメーカーおよび車種によって検知方法やシステムが異なります。そこで、性能の評価・公表によって安全性能をユーザーにも明確化し、技術開発の推進と安全性の高い車の普及を図るのが目的です。現在想定している評価方法は、まず停止車両を模した障害物と、20km/hで前方を走行する車両に見立てた障害物に向けて評価車両を走らせ、自動ブレーキで衝突を回避できるかを確認します。そして速度差10km/hから5km/hずつ速度を上げながらクリアできた時点で加点。その他の安全装置評価で得た点と合計し、最高三ツ星でのランク付けを行うというものです。 こうした政府としての前向きな取り組みは、自動車保険などに対しても重要な意味を持ちます。実は2013年7月に、アメリカンホーム保険が個人向け自動車保険「ファミリー自動車総合保険」に対して保険料が最大5%割引になる「衝突被害軽減ブレーキ装置割引」を導入予定でしたが、金融庁からの認可が必要なため急遽中止になるという出来事がありました。今後はABS(アンチロックブレーキシステム)やエアバッグのように、安全性を高める効果が確認されてから、自動車保険の割引対象として許可される見込みです。