中井貴一“静”、岡田将生“歩”への感謝を遠回しに告白「1人のナースのおかげ」<ザ・トラベルナース>
岡田将生と中井貴一が“クセ強ナース”を演じる痛快医療ヒューマンドラマ「ザ・トラベルナース」(毎週木曜夜9:00-9:54、テレビ朝日系)の第6話が11月28日に放送され、静(中井)と歩(岡田)が、余命宣告を受けて人生を諦めかけている医師に前向きに生きてほしいと説得する中で前シリーズの2人のやり取りが再び流れ、改めて静と歩の絆の強さを再認識させられた。(以下、ネタバレを含みます) 【写真】手術着姿もキマってる!歩役の岡田将生 ■クセ強敏腕看護師コンビが医療現場を改革 本作は、手術の際に医師を補助し一定の医療行為を実施できる「NP(=ナース・プラクティショナー)」の那須田歩(岡田将生)と謎多きスーパーナースの九鬼静(中井貴一)のクセ強看護師コンビが、“患者ファースト”の精神で医療現場を改革していく物語のシーズン2。 トラベルナース(人手不足の病院や施設にて期間限定で働くフリーランスの看護師)である彼らの今シーズンの勤務先は、基幹病院である「西東京総合病院」。同病院では、新院長・薬師丸(山崎育三郎)が働き方改革を中心とした組織変革に次々と着手。現場の状況より自分の理想を優先して強引に改革を進める薬師丸に、静と歩は闘いを挑んでいく。 ■看板ドクター・上杉が突然辞職!? 西東京総合病院の外科医・上杉(三宅弘城)は、薬師丸が院長になる際に必死で口説いて他院から引き抜いたゴッドハンドの名医。上杉の執刀を希望する患者が全国から訪れる看板ドクターだ。取材依頼も多く、薬師丸は上杉を病院の広告塔にしようと考えていた。 ところが突然、上杉は全ての手術の予定をキャンセルしてほしいと言い出し、「燃え尽きた。医療への熱意を失った」と、辞職を願い出た。話す声が極端に小さく、他人とのコミュニケーションが苦手だが、真摯に患者に向き合い、卓越した技術を持つ上杉をリスペクトしている歩は、執刀を心待ちにしている患者を投げ出すような事を上杉がするとは思えず、事情があるなら話してほしいと迫るが、彼は語ろうとしなかった。 そんな中、歩は所用で訪れた別の病院で、そこの医師と上杉が会話しながら握手をしているのを目撃。条件の良い別の病院に移るつもりなのだ、と思い、ガッカリするのだった。 ■「メスも持てず、患者を助けられないのは医師として死んだも同然」 だが、実際はそうではなかった。上杉は肺がんの脳転移ステージ4で、メスを握るのも限界が近づいていた。余命は半年足らずで、手術をしても2年延命するかどうかという状態だった。メスも持てず患者を助けられないのは医師として死んだも同然、と考える上杉は、このまま静かに死を待ちたいと、他院の緩和医療科の医師に入院を頼みに行っていたのだった。 上杉の病状と考えを先に知った静から話を聞いた歩は、「手術をすればまだ生きられる。その間に医療が進歩して助かるかもしれないのに」と、上杉の決断を受け入れることができないでいた。そんな彼に、静は「人生の最期をどう生きるかを決めるのは、上杉自身」と言い、上杉の気持ちはわかる、と告げた。 静は2年前に難病が発覚した時、「契約終了の2週間後まで寝込むわけにはいかない」と言って、歩に病気の事を他言したらただじゃおかない、と広島弁ですごみ、「ワシは死ぬまでナースじゃけえ」と語っていた。そんな自分が上杉と重なったのだろう。 歩も当時を思い出して、静にただ生きていてほしかったのだと語った後、「1人で死ぬのは、怖い」と打ち明けた静の本音を引き合いに出し、「それは生きたいと思ったからじゃないんですか?」と彼に問いかけた。そして「僕は絶対に諦めません!」と、静の目を見ながら力強く想いを伝えるのだった。 ■消えかけていた上杉の情熱の炎に再び火を灯したものは… 歩は上杉に「彼の病状に詳しい医師を何人も知っている。連絡してみるから諦めないでほしい」と必死で訴えた。だが「メスが握れなくなったら、それで終わり」と、上杉の気持ちは変わらない。そんな上杉に、静は「先生は、まだ生きていらっしゃいます」と言いながら、執刀予定だった患者・六平(やす)のカルテが入った封筒を置いて部屋を出た。六平は、VIPの患者に割り込まれてもガマンして上杉の執刀を待っていた。やっと順番が回ってきたタイミングで上杉がやめると言い出して、落胆していた。 六平の執刀は上杉に代わり若い医師・小山(渡辺大知)がする事に。小山も優秀な医師だが、思った以上に難易度の高い手術となり苦戦していた。その時、上杉が手術室に入ってきた。静が置いていった六平の写真を見て、厳しい手術になる事がわかったからだ。小山は上杉に引き継ごうとしたが、彼は「オマエがやるんだ」と、隣でアドバイスしながら小山の執刀を見守り、手術は無事に終わった。 上杉が考えを変えて手術に立ち会う事にしたのは、新米ナース・柚子(森田望智)に見せられた動画のコメントだった。柚子は偶然知った上杉の病状を、バズリたい一心で「神の手を持つ天才ドクターのヒミツ」というスキャンダラスなタイトルで動画配信して大炎上。反省して謝罪に来た彼女が「先生は孤独じゃありませんよ」と見せた動画へのコメント欄には、以前上杉に救われた患者たちの感謝や応援の言葉が並んでおり、それを読んだ上杉は消えかけていた情熱を取り戻したのだった。 ■人を見て人を治す医者が居てもいい 歩は上杉に、メスを握らなくても患者を救えたじゃないか、と言い、静も「医者は病気を見つけて病気を治すが、人を見て人を治す医者がいてもいい」と、上杉ならそれができるはずだと告げた。 だが「できるわけがない…」と頑なな上杉に、静は「自分もかつて生きるのを諦めた事があるが、1人のナースのおかげでこうして今も看護師を続けられている」と語り始めた。「諦めるという事は人生において決して潔い事ではない。大切なのは、変化を受け入れ、必死になって最後まで走り抜く…それが“命を全うする”という事」だと、今になってわかったのだ、と言い、がん専門カウンセラーの仕事を勧めた。 歩も、上杉の言葉には重みがある、と後押しし、「先生が命を全うする姿を僕は見たいです」と気持ちをぶつけた。そんな2人の想いが届き、上杉は「ジタバタ生きるのも悪くないのかも」と気持ちが変化し始めた。 後日、がん患者のカウンセリングを始めた上杉。「手術しても前のようには働けない」と投げやりになる患者に、大きな声で「人は何度でも生まれ変われます!」と前向きにさせる言葉を投げかけていた。 静が上杉に話した「1人のナース」とは歩の事だ。今回、前シリーズの静の病気にまつわる2人のやり取りが流れ、普段はケンカばかりだが根底では強い絆で結ばれているのだと再認識できた。 また、上杉が余命いくばくも無いと知った時の薬師丸の態度も気になった。彼の体調などを気遣う様子は一切無く、「早く代わりの広告塔を探さなくては」とだけ…。薬師丸にとっては、自分以外の人間は自分の理想を叶えるための道具でしかないのだ。次回、そんな彼と静たちの対立が激化しそうな気配。静と歩は、上杉同様いつか薬師丸の心も替える事ができるだろうか…。 ◆文=ザテレビジョンドラマ部