欧州に「本腰」入れる中国メーカー 長城汽車(GWM)が本格上陸 「嗜好」の違い課題に
果たしてブランドを確立できるか
では、次の展開は? まずは欧州でのブランドとモデルの流入が予想される。GWMは、「テクノロジーに精通し、品質にこだわる」「意欲的な中流階級」をターゲットにしているというが、この型に当てはまるブランドの1つがウェイだ。 すでにドイツで販売されているウェイだが、エクステリアやインテリアのスタイリングは欧州の嗜好に合っており、十分に通用する素養を持っている。 GWMの旗艦ブランドである「タンク」もこのターゲット層にフィットするが、欧州で見かけることはないだろう。 タンクの問題はビジネスケースだ。説明によれば、タンクはランドローバー・ディフェンダーやレンジローバー、メルセデス・ベンツGクラスなどと競合する高級SUVブランドという位置づけだ。中国では問題ないが、欧州ではそれらの競合ブランドの影響力が強すぎて顧客を奪うことができないだろう。 ともあれ、拡大計画は本格化している。GWMはスペイン、イタリア、ポルトガル、ベルギー、ルクセンブルク、オランダ、オーストリア、スイス、デンマーク、ブルガリアなど、多くの欧州諸国をターゲットにしている。 より迅速な拡大を目指し、名称の見直しも実施して、欧州向けのモデル(ファンキーキャットなど)はすべてGWMの名の下に販売されている。ヤーンケ氏は、「これにより、厳しい欧州市場においてより強力な消費者ブランドを確立し、認知度と親しみやすさを高めることができます。最終的には、このアプローチによって欧州におけるポートフォリオのさらなる拡大が容易になるでしょう」と語っている。
ウィル・リメル(執筆) 林汰久也(翻訳)