サグラダ・ファミリアの天使の像が京都市立芸大に! 主任彫刻家の外尾悦郎が寄贈
スペイン・バルセロナの世界遺産、サグラダ・ファミリア聖堂は1882年の着工以来今なお建築が続いているが、先日2026年の完成が発表された。同聖堂は2005年に、「アントニ・ガウディの作品群」として世界文化遺産登録されている。 同聖堂で主任彫刻家を務める外尾悦郎は、1953年福岡県生まれ。1977年に京都市立芸術大学を卒業し、中学・高校の非常勤教師を経て、翌1978年に石工を目指してヨーロッパへ渡った。その際にサグラダ・ファミリアに遭遇。そのまま50年近く同聖堂に関わることとなり、およそ500点の作品を手掛けた。2024年9月には、バチカンのローマ教皇庁から学術研究などで優れた成果を残した人物をたたえる「ラツィンガー賞」が授与されている。 外尾は、母校である京都市立芸術大学が京都駅付近に移転するにあたり、石膏像《歌う天使たち》を大学に寄贈した。《歌う天使たち》は同聖堂の「生誕の門」に設置される9体からなる像で、2000年に砂岩で制作された石像に置き換わるまでの約10年間、この石膏像は実際にサグラダ・ファミリアに設置され、多くの人々の目に触れてきた。石膏像はガウディの残したわずかな資料を手掛かりに制作されており、表面には、石像に置き換えるためのマーキングが多数残され、切り刻んだ跡やつなぎ目などもそのままだ。
これには後輩たちへのメッセージが込められている。寄贈にあたって外尾は、「石に換えていく手筈が模型(石膏像)に鉛筆書きされているのが残っていて恥ずかしい思いもあるが、後輩たちのご興味に添えるのであれば忍びたい」とコメントしている。 同大学は、2025年1月からの石膏像公開を目指している。しかし像はステージを含めると1トンにもなり、常設展示を行うには、それらを安全に固定させるために大がかりな工事が必要だ。石膏像のチェックや補修なども合わせると、少なくとも、約4500万円の費用が見込まれるという。大学は現在、クラウドファンディングでそれらの費用を募っている。目標は3000万円。2025年1月8日まで受け付けている。
ARTnews JAPAN